高齢者の転倒を防ぐために滑り止め付き靴下を考えている方は多いと思います。でも実は、滑り止め靴下が高齢者にとって危ない場合もあることを知っていますか?
滑り止め靴下の効果は確かにありますが、靴下だけで歩くと転倒リスクが高まることもあります。特にすり足で歩く方やフローリングでは、滑り止めが逆につまずきの原因になってしまうことも。高齢者の靴下選び方を間違えると、安全のつもりが危険になってしまいます。
また介護現場では高齢者の靴下や滑り止めの使い方にも注意が必要です。お手頃価格で手に入る滑り止め靴下もありますが、どんな点に気をつければいいのでしょうか。
この記事では、滑り止め靴下の正しい使い方と危険性、効果的な転倒防止方法をわかりやすく説明します。
高齢者の滑り止め靴下は危ない?
- 滑り止め靴下の効果は?転倒防止の真実
- 靴下だけで歩くと転倒リスクが高まる理由
- すり足歩行の高齢者には滑り止めは逆効果になるケースも
- 高齢者の家の中でつまづき・転倒が起こる原因
- フローリングでの滑り止め靴下の注意点
滑り止め靴下の効果は?転倒防止の真実

滑り止め靴下は高齢者の転倒防止に有用と言われていますが、万能ではありません。研究データによると、普通の靴下と比較して転倒リスクを大幅に軽減できることがわかっています。ただし、使用する環境や個人の歩行パターンによって効果は大きく変わるのが実情です。
効果が期待できる理由:
- 足裏のゴム加工により床との摩擦力が向上する
- 普通の靴下は安全基準(摩擦係数0.35)を下回ることが多いが、滑り止め付き靴下は基準を上回る
- 介護施設の調査では、靴下のみで歩行する場合に転倒事故の約74%が発生しており、滑り止め機能は重要な安全対策となっている
しかし注意点もあります。フローリングなど床の材質や歩行方法によっては、逆につまずきの原因となる可能性も指摘されています。
滑り止めの注意点:
- すり足で歩く方や認知症の方には、滑り止めが引っかかりやすくなる
- 靴下が湿気を含むと滑り止め効果が強くなりすぎて、逆につまずきやすくなる
- フローリングなど摩擦係数が高い床材では、つまずきの原因となる場合がある
歩き方や床材を考慮して選ぶことが大切です。例えば、畳の縦方向やポリエチレンマットでは滑り止め効果が期待されますが、木質のフローリングでは慎重な判断が必要となります。使用前には必ず安全な場所で歩行感覚を確認し、違和感がある場合は専門家に相談することをおすすめします。
靴下だけで歩くと転倒リスクが高まる理由

靴下だけでの歩行は、高齢者にとって最も危険な状態の一つです。介護施設での転倒事故データを見ると、裸足や靴を履いた状態よりも、靴下のみの歩行時に事故が集中しています。
靴下のみで転倒しやすい理由:
- 靴下の素材(特に綿や化学繊維)が床に対して滑りやすい
- 足首が不安定になるため、バランスを崩した際の立て直しが困難
- 靴下が足より大きいと、歩行時に足が靴下の中でずれてしまい、バランスを崩しやすい
東京消防庁のデータによると、高齢者の救急搬送の約8割が転倒による怪我で、そのうち約6割が自宅での事故です。この中でも靴下のみでの歩行中の事故が特に多く報告されています。
事故が多発する場面:
- 朝起きた直後の移動時
- 夜中にトイレへ向かう際
- スリッパを履かずに靴下だけで移動する時
- 急いで移動しようとする時
もしかしたらご家庭でも、お年寄りが靴下だけで歩いている光景を目にすることがあるでしょう。このような場合は、滑り止め付きの靴下への変更や、室内履きの着用をおすすめします。ただし、本人の好みや習慣も考慮して、無理のない範囲で対策を進めることが重要です。急激な変化は混乱を招く可能性があるため、段階的に安全対策を導入していきましょう。
すり足歩行の高齢者には滑り止めは逆効果になるケースも

認知症や筋力低下により、すり足で歩く高齢者の方には滑り止め靴下が危険な場合があります。これは多くの方が知らない重要なポイントで、善意で購入した滑り止め靴下が逆に事故の原因となってしまう可能性があるのです。
なぜなら、すり足歩行では足を高く上げずに床面をこするように歩くため、滑り止めのゴム部分が床に引っかかりやすくなるからです。実際の調査でも、すり足歩行の方が滑り止め靴下を着用した際のつまづき事故が報告されています。
すり足歩行になる主な原因:
- パーキンソン病などの神経系の疾患
- 下肢の筋力低下
- バランス感覚の低下
- 歩行習慣の変化
- 認知症の進行により、足を上げる動作を忘れてしまう
特にデイサービスなどの介護現場では、このような事例が確認されており、介護士の方々も注意深く観察しています。
すり足歩行の方への対策:
- 滑り止めの面積が少ないタイプを選ぶ
- 踵(かかと)部分のみに滑り止めが付いた靴下を使用する
- 理学療法士などの専門家に歩行パターンを相談する
- 地域包括支援センターでの相談も活用する
あなたのご家族がすり足で歩いている場合は、一度専門家に相談してみてください。個人に適した対策を検討することで、より安全な歩行環境を整えることができます。
高齢者の家の中でつまづき・転倒が起こる原因

高齢者の転倒事故の約6割が自宅で発生していることをご存知でしょうか。住み慣れた我が家でも、実は多くの転倒リスクが潜んでいます。年齢を重ねることで身体機能が変化し、今まで問題なかった環境が危険な場所に変わってしまうのです。
室内での転倒が多い場所(多い順):
- 居間・寝室
- 玄関・勝手口
- 廊下・縁側・通路
- トイレ・洗面所
- 台所・ダイニング
特に玄関では靴の着脱時にバランスを崩しやすく、玄関の段差で足を踏み外すケースが頻発しています。
最も多い原因は、わずかな段差や障害物につまずくことです。家庭内でつまずきやすいものとして、カーペットの端や畳の縁、電気コードや床に置いた荷物、新聞紙や雑誌、こたつ布団や座布団などがあります。また、1~2センチの軽微な段差でも、加齢による筋力低下で足が十分に上がらなくなり、以前は問題なかった場所でも転倒しやすくなるのです。
効果的な対策:
- 床に物を置かない習慣をつける
- 段差にスロープを設置し、手すりを取り付ける
- 照明を明るくして足元を見えやすくする
- 電気コードを壁に沿わせて動線から外す
私たちができる対策として、これらの環境整備が効果的です。ちなみに、照明を明るくすることも転倒予防に重要な要素で、特に足元が見えやすくなるよう工夫することが大切です。
参考:消費者庁「高齢者の事故を防ぐために」 /内閣府「平成30年版高齢社会白書(生活環境)」
フローリングでの滑り止め靴下の注意点

フローリングでの滑り止め靴下使用には、意外な落とし穴があります。研究データによると、フローリングは摩擦係数が非常に高いため、滑り止めが効きすぎて、つまずきの原因となる可能性があるのです。
フローリングで滑り止めが危険になる理由:
- 滑り止めのゴム部分がフローリング表面に強く引っかかる
- 歩幅が小さくなった高齢者の足を引きずる動作でゴムが床に引っかかりやすい
- 汗をかいた足や洗濯後に乾いていない靴下は摩擦力が高くなりすぎて引っかかりやすい
フローリングでの滑り止め靴下の利用は、歩行時に「つんのめり」を引き起こす可能性が指摘されています。これは安全のために使用した滑り止め靴下が、逆に転倒リスクを高めてしまうという結果になりかねません。
フローリングでの安全な対策:
- 滑り止めの面積が少ないタイプを選ぶ
- 踵部分のみに滑り止めが付いた商品を使用する
- 粘着性の高い滑り止めは避ける
- 使用前に室内の安全な場所で歩行感覚を確認する
もし現在お使いの滑り止め靴下で歩きにくさを感じる場合は、別のタイプへの変更を検討してみてください。違和感があれば無理に使用しないことが大切です。家族や介護者がサポートしながら試着して、歩行の安定性を確認することをおすすめします。
高齢者の靴下選び方と安全な転倒防止対策
- 高齢者の靴下選び方のポイントと注意点
- 介護向け高齢者用滑り止め靴下の選び方
- 滑り止め付き靴下の正しい使い方
- 高齢者のスリッパやサンダルは危ない?
- しまむらでおすすめの高齢者用滑り止め靴下
- 高齢者が転んで起き上がれない時の対処法
高齢者の靴下選び方のポイントと注意点

高齢者向けの靴下選びは、若い世代とは異なる視点が必要です。最も重要なのは、履きやすさと安全性を両立させることです。年齢を重ねると足の形状が変化し、むくみやすくなったり、皮膚が敏感になったりします。
滑り止め付きなどの安全性に加え、履きやすさも重視しましょう。
素材選びのポイント:
- 伸縮性のある素材を選ぶ(足のむくみに対応)
- 綿混や天然繊維が肌に優しくおすすめ
- 化学繊維100%は蒸れやすく肌トラブルの原因となる場合がある
- 吸湿性と通気性のバランスが取れた素材を選ぶ
まず、伸縮性のある素材を選びましょう。足のむくみがある方でも無理なく着脱できます。特に朝と夕方で足のサイズが変わりやすい高齢者には、伸縮性の高い素材が快適性を保つ重要な要素となります。
素材については、綿混や天然繊維が肌に優しくおすすめです。化学繊維100%の素材は蒸れやすく、肌トラブルの原因となる場合があるため、吸湿性と通気性のバランスが取れた素材を選ぶことが大切です。
サイズ・フィット感の注意点:
- 履き口のゴムがきつくない「ゆったりタイプ」を選ぶ
- 少し余裕のあるサイズで締め付け感を軽減
- 靴下が大きすぎると、足が靴下の中でずれてしまうので注意
- 足の実測サイズ+むくみの程度を考慮
サイズ選びでは、少し余裕のあるものを選ぶと、一日中履いても締め付け感がありません。ただし、大きすぎると足が靴下の中でずれてしまい、かえって歩きにくくなるため注意が必要です。
また、滑り止めの有無は歩行パターンや床材によって判断する必要があります。厚すぎる靴下は靴が履きにくくなるため、適度な厚みのものを選びましょう。実際に購入前に手で触って、肌触りや伸縮性を確認することも大切です。
介護向け高齢者用滑り止め靴下の選び方

介護現場で使用する滑り止め靴下には、特別な配慮が必要です。利用者の安全と介護者の負担軽減の両方を考慮した選び方をご紹介します。介護施設や在宅介護では、安全性だけでなく、管理のしやすさも重要な要素です。
着脱のしやすさを重視した機能:
- マジックテープ式やゴムを使わないタイプ
- 手の力が弱い方でも自分で履ける構造
- 認知症の方でも理解しやすいデザイン
まず、着脱のしやすさを重視しましょう。マジックテープ式やゴムを使わないタイプは、手の力が弱い方でも自分で履くことができます。認知症の方でも理解しやすい構造になっており、結果的に介護者の負担も軽減されます。
また、名前の記入欄がある商品は、施設利用時の紛失防止に役立ちます。共同生活では所有物の管理が重要で、洗濯時の取り違えも防げます。汚れが目立ちにくく、洗濯しやすい素材を選ぶことで、衛生管理が容易になります。
安全性と快適性への配慮:
- 縫い目が外側にあるタイプ(肌への刺激を軽減)
- 滑り止めは全面ではなく部分的に配置
- 足裏の中央部分や踵部分に限定された滑り止めが安全
縫い目が外側にあるタイプは、肌への刺激を減らせるため快適性が向上します。長時間着用する場合、内側の縫い目が肌を圧迫して床ずれの原因となることもあるため、この配慮は非常に重要です。
滑り止めについては、全面ではなく部分的に配置されたものが安全です。なぜならば、前述の通り滑り止めが効きすぎるとつまづきの原因となるからです。
介護現場での管理がスムーズになるよう、左右の区別がつきやすく、サイズ表示が見やすいものを選ぶことも大切です。
滑り止め付き靴下の正しい使い方

滑り止め付き靴下を効果的に使うには、正しい着用方法と注意点を理解することが重要です。適切な使い方をマスターすれば、転倒リスクを大幅に軽減できます。しかし、間違った使い方では期待した効果が得られないだけでなく、かえって危険な場合もあります。
正しい着用方法:
- 滑り止め部分がしっかりと足裏に密着するよう調整する
- しわやたるみがないか確認する(効果が低下するため)
- かかと部分とつま先部分の滑り止めが正しい位置にあるか確認
- 履いた後は実際に歩いてみて、滑り止めがずれていないかチェック
着用時は、滑り止め部分がしっかりと足裏に密着するよう調整しましょう。しわやたるみがあると、滑り止め効果が低下します。
特にかかと部分とつま先部分は、歩行時に最も力がかかる部分のため、この部分の滑り止めが正しい位置にあるか確認が必要です。
また、靴下が湿った状態では滑り性が変化するため、汗をかいた際は交換することをおすすめします。特に足汗の多い方は、予備の靴下を用意しておくとよいでしょう。
洗濯後は滑り止め部分の劣化を確認し、滑り止めゴムが剥がれかけている、硬くなっている、ひび割れしている、効果が明らかに低下している場合は新しいものに交換してください。
使用場所と安全確認:
- カーペットや畳では効果的
- フローリングでは滑り止めが効きすぎて、つまずきの原因となる可能性がある
- 使い始めは安全な場所で歩行感覚を確認
- 家族や介護者が見守りの下で試着し、歩行の安定性を確認
使用場所についても注意が必要です。カーペットや畳では効果的ですが、フローリングでは歩き方によって逆効果となる可能性があります。使い始めは、安全な場所で歩行感覚を確認してから日常使いするとよいでしょう。
高齢者のスリッパやサンダルは危ない?

室内だと靴下のほか、スリッパやサンダルを愛用する高齢者も多くいますが、実は転倒リスクの高い履物です。履きやすさから選ばれることが多いですが、見過ごせない危険性が潜んでいます。その理由と安全な代替案をお伝えします。
スリッパの主な問題点:
- 歩行中に脱げてつまずいたり、脱げたスリッパに足を引っかけたりする
- かかとが固定されないため歩行時のバランスが不安定
- 足がスリッパの中で前後に動いてしまい、予期しない転倒を招く
スリッパの最大の問題は、脱げやすさにあります。特に階段の上り下りや、急いで移動する際に脱げやすく、大きな事故につながることもあります。また、かかとが固定されないため、歩行時のバランスが不安定になりがちです。
サンダルも同様に、固定力が弱く転倒の原因となりやすい履物です。特にマジックテープが劣化したサンダルや、サイズが合わないサンダルは危険度が高くなります。また、底が薄いサンダルは地面の感覚が分かりにくく、段差の認識が困難になることもあります。
さらに、スリッパやサンダルの多くは滑りやすい素材で作られており、濡れた床面では特に危険です。浴室から出た直後や、台所での使用時には注意が必要です。
安全な代替案:
- かかとまで覆うルームシューズ
- 足にフィットするマジックテープ式の室内履き
- 滑り止め付き靴下(ただし歩行パターンや床材に注意)
安全な代替案として、かかとまで覆うルームシューズや足にフィットするマジックテープ式の室内履きがおすすめです。これらは足をしっかりと固定し、歩行時の安定性を保ちます。
また、注意点を踏まえた上で、滑り止め付き靴下を選ぶことも有効な対策です。どうしてもスリッパを使いたい場合は、かかと部分があるタイプや、足にしっかりフィットするサイズを選びましょう。
最初は違和感があるかもしれませんが、安全性を考えると履物の見直しは重要な転倒対策となります。家族で話し合い、段階的に安全な履物への変更を検討することをおすすめします。
しまむらでおすすめの高齢者用滑り止め靴下
毎日使う靴下は、お手頃価格で入手したいですよね。しまむらでも高齢者向けの滑り止め靴下を取り扱っています。
しまむらの高齢者向けの滑り止め靴下として、「口ゴムのびーる靴下」が人気です。価格は429円(税込)と手頃で、高齢者に優しい設計が特徴となっています。多くの方が気軽に購入できる価格帯でありながら、必要な機能をしっかりと備えた商品です。
商品の主な特徴:
- 足首を締め付けないゆったり設計
- 滑り止め付きで転倒防止効果が期待できる
- 特殊な口ゴムによりむくみがある方でも快適に着用可能
この商品の魅力は、足首を締め付けないゆったり設計にあります。特殊な口ゴムにより、むくみがある方でも快適に着用できるのです。一般的な靴下のようにゴムがきつくて跡が残る心配もありません。
また、滑り止め付きで転倒防止効果も期待できます。滑り止めは足裏の必要な部分に適度に配置されており、歩行の邪魔にならない設計となっています。
素材はレーヨン39%、綿33%、ポリエステル18%、アクリル6%、ナイロン3%、ポリウレタン1%の混合素材で、肌触りが良く通気性にも優れています。この絶妙な素材バランスにより、一年を通して快適に着用できます。サイズは22-25cmで、多くの女性の足に対応しています。カラーはグレーとブルーの2色展開で、どちらも汚れが目立ちにくく実用的です。
購入方法:
- オンライン:しまむら公式オンラインストアで予約注文(2025年6月上旬〜中旬発送予定)
- 店舗:全国のしまむら店舗での購入が可能
購入方法は、しまむら公式オンラインストアでの予約注文と、全国の店舗での購入が可能です。オンラインでは在庫状況の確認が簡単にでき、店舗では実際に商品を手に取って確認できます。ただし数量限定のため、早めの購入をおすすめします。
口コミでは「締め付け感がない」「暖かくて履き心地が良い」「ゴム跡が残らず肌にも優しい」「滑り止めで転倒の心配が少ない」といった好評価が多い一方で、「運動には不向きでズレやすい」「細身の方には少し大きめに感じる」という声もあります。日常的な室内歩行には適していますが、激しい動きには向かない点にご注意ください。
高齢者が転んで起き上がれない時の対処法

転倒予防をしていても、予期せぬ事態が起こってしまうこともあります。高齢者が転倒してしまった際は、慌てずに適切な対応をすることが重要です。
間違った対処は二次被害を招く可能性があるため、正しい手順を覚えておきましょう。転倒は高齢者にとって命に関わる重大な事故になることもあるため、家族や介護者は適切な対応方法を身につけておく必要があります。
転倒直後の基本対応:
- 転倒した方の意識確認を行う(声をかけて反応があるか確認)
- 呼びかけに対する返答の明瞭さもチェック
- 無理に起こそうとせずその場で安静にしてもらう
- 首を動かさないよう注意深く対応
まず、転倒した方の意識確認を行います。声をかけて反応があるか確認し、呼びかけに対する返答の明瞭さもチェックしましょう。意識がもうろうとしている場合は、頭部への衝撃が疑われます。無理に起こそうとせずその場で安静にしてもらい、首を動かさないよう注意深く対応します。
痛がっている箇所や動かせない部分がないか丁寧に聞き取り、骨折の可能性がある場合は迷わず救急車を呼びます。特に大腿骨頚部骨折は高齢者に多い重篤な骨折で、歩行困難や長期入院の原因となります。転倒した際に腰や足の付け根を痛がる場合は、骨折を疑って慎重に対応しましょう。
頭を打った場合は、外見上問題がなくても硬膜下血腫などの可能性があるため、医療機関での検査が必要です。頭部外傷は時間が経ってから症状が現れることもあるため、軽視してはいけません。
自力で起き上がれる場合の注意点:
- 転倒の原因を確認する(めまい、足のもつれ、視界の不良など)
- 体調面の問題がある場合は医師への相談が必要
- 転倒した場所の安全点検を行う
自力で起き上がれる場合でも、転倒の原因を確認することが大切です。めまいや足のもつれ、視界の不良など、気になる症状がある場合は自己判断せず、医療機関を受診することをおすすめします。
また、転倒した場所の安全点検を行い、段差や障害物、照明の問題など、同じ事故が起こらないよう環境を整えることも重要な対策となります。
厚生労働省の調査によると、介護が必要になった主な原因として「骨折・転倒」は全体の約13%を占めており、転倒予防の重要性が示されています。もしもの時に備えて、緊急連絡先を見やすい場所に掲示しておくことも検討しましょう。
特に一人暮らしの高齢者の場合は、緊急通報システムの設置や、定期的な安否確認の仕組みを整えることも大切です。
高齢者の滑り止め靴下が危ない?転倒防止の正しい選び方と注意点まとめ
- 滑り止め靴下は転倒防止に有効だが、使用環境や歩行パターンによっては逆効果
- 靴下のみでの歩行は介護施設の転倒事故の約74%を占める最も危険な状態
- 高齢者の転倒事故の約6割が自宅で発生、居間・寝室が多い
- わずかな段差やカーペットの端、電気コードが家庭内でのつまずき要因となる
- すり足歩行の高齢者には滑り止めが床に引っかかりつまずきの原因となる可能性がある
- フローリングでは滑り止めが効きすぎて危険なケースもある
- 靴下選びでは伸縮性のある素材と適度なサイズ選択が重要
- 介護現場では着脱しやすく縫い目が外側にあるタイプがおすすめ
- 滑り止め部分は全面ではなくかかとや部分的な配置が安全
- 使用前には安全な場所で歩行感覚を確認、違和感を感じた時は使用を中止する
- 湿った状態では滑り止め効果が強くなるため、汗をかいた際は交換が必要
- 滑り止め用のゴムの劣化やひび割れで効果低下するため、定期的な交換が必須
- スリッパやサンダルは脱げやすく、かかと固定がないため転倒リスクが高い
- しまむらの「口ゴムのびーる靴下」は手頃価格の滑り止め靴下
- 転倒時は意識確認後に無理に起こさず骨折可能性を考慮した対応が重要