本ページはプロモーションが含まれています 暮らし・生活

高齢者講習の実車指導を完全攻略!内容から注意点まで詳しく解説

高齢者講習の実車指導を完全攻略!内容から注意点まで詳しく解説

70歳以上の免許更新で必要となる高齢者講習、なかでも実車指導について疑問や不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。

実車指導の有無はもちろん、「具体的な内容はどんなものなの?」といった基本的な疑問から、「ペーパードライバーは?」「マニュアルとオートマどっち?」といった疑問まで、様々な疑問が出てきますよね。また、高齢者講習の実技の合格率について心配されている人もいます。

この記事では、高齢者講習の実車指導に関するこれらの疑問について、具体的で分かりやすい解説をお届けします。講習を控えている方が安心して受講できるよう、実際の流れから注意点まで詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

記事のポイント

  1. 実車指導ありなしの判定基準と対象者
  2. 実車指導の具体的な内容
  3. 合格率や車の持ち込みなど実車指導に関する疑問解消
  4. 70~74歳と75歳以上で異なる点

高齢者講習の実車指導のポイント

  • 高齢者講習の内容
  • 実車指導あり・なしどちらのケースに該当?
  • 実車指導の具体的な内容
  • ペーパードライバーでも受講が必要?
  • マニュアルとオートマどちらで実施?
  • 段差乗り上げなどの課題について

高齢者講習の内容

高齢者講習の内容

高齢者講習は、70歳以上の方が運転免許を更新する際に必ず受けなければならない講習です。最初に知っておきたいことは、これは試験ではないということ。つまり、合格や不合格といった判定はありません。

高齢者講習は大きく3つの内容に分かれています。座学講習が30分間あり、DVDを視聴しながら交通ルールや安全運転について確認します。これは一方的な講義ではなく、指導員から質問されたり、受講者同士で意見を交換したりする双方向型の講習になっています。

講習の基本構成

  • 座学講習:30分間(DVD視聴・双方向型講義)
  • 運転適性検査:30分間(4つの視力検査)
  • 実車指導:60分間(普通自動車対応免許保持者のみ)

次に運転適性検査が30分間実施されます。こちらでは機器を使って4つの視力検査を行います。静止視力検査は普通の視力検査と同じで、動いていない文字がどれくらい見えるかを測定します。動体視力検査では、動いているものがどれだけはっきり見えるかをチェックします。

夜間視力検査は、明るいところから急に暗いところに入った時の目の順応度を調べます。そして視野検査では、正面を見ながらどこまで横の範囲が見えるかを確認します。これらの検査は、運転に必要な身体機能の現状を把握するためのもので、合否判定は行いません。

最後に実車指導が60分間あります。ただし、これは普通自動車対応免許を持っている方のみが対象です。教習所のコース内で実際に車を運転し、指導員からアドバイスを受けながら安全運転について学びます。

講習時間と料金

  • 実車指導あり:2時間・6,450円(普通自動車対応免許保持者)
  • 実車指導なし:1時間・2,900円(原付・二輪・小特・大特のみ)

高齢者講習は免許の更新期間満了日の6か月前から受講可能です。地域によっては予約が取りにくいことがあるため、早めに予約を取りましょう。講習を知らせるハガキが更新期間満了日の6か月前に届きますので、記載された教習所に早めに連絡することをおすすめします。

実車指導あり・なしどちらのケースに該当?

実車指導あり・なしどちらのケースに該当?

実車指導があるかないかは、持っている免許の種類によって決まります。判断基準はとてもシンプルで、普通自動車を運転できる免許を持っているかどうかです。

高齢者講習の料金・時間比較表
対象者講習時間料金実車指導
普通自動車対応免許保持者
(大型・中型・準中型・普通免許)
2時間6,450円あり
原付・二輪・小特・大特のみ1時間2,900円なし
75歳以上で運転技能検査合格者1時間2,900円なし

実車指導あり(2時間講習・6,450円)

  • 大型免許を持っている
  • 中型免許を持っている
  • 準中型免許を持っている
  • 普通免許を持っている

これらの免許があれば、普段車を運転していなくても実車指導を受ける必要があります。運転頻度は関係ありません。免許証に記載されている免許の種類のみで判定されます。

一方で、実車指導がない人は、原付免許、二輪免許、小特免許(小型特殊自動車)、大特免許(大型特殊自動車)のみを持っている人です。例えば、原付バイクしか運転しない方や、二輪免許だけを持っている人はこちらに該当します。

実車指導なし(1時間講習・2,900円)

  • 原付免許のみ
  • 二輪免許のみ
  • 小特免許(小型特殊自動車)のみ
  • 大特免許(大型特殊自動車)のみ
  • 運転技能検査を受けて合格した75歳以上の人

また、75歳以上の人については特別なケースがあります。運転技能検査という実車試験を受けて合格した人は、高齢者講習では実車指導が免除されます。なぜなら、運転技能検査で既に実際の運転技能を確認しているからです。

よくある勘違いとして、「普通免許は持っているけど、車は運転しないから実車指導はない」と思っている人がいますが、実際の運転頻度は全く関係ありません。免許証に普通免許の記載があれば、たとえペーパードライバーであっても実車指導を受けることになります。

判断に迷った場合は、免許証の表面を確認してみましょう。「中型車は中型車(8t)に限る」「準中型車は準中型車(5t)に限る」などの記載があれば、普通自動車対応免許に該当します。もし分からない場合は、講習を予約する際に教習所に確認すると確実です。

実車指導の具体的な内容

実車指導の具体的な内容

実車指導では、教習所のコース内で普通自動車を運転します。車種は基本的にセダンタイプのオートマチック車になり、自分で車種を選ぶことはできません。普段軽自動車しか乗らない方や、マニュアル車に慣れている人も、教習所が用意した車で受講することになります。

実車指導の時間は約60分で、この時間内に基本的な運転操作と安全確認を中心とした課題を行います。まず発進、停止、右左折、直進などの基本動作を確認し、加齢による影響がないかをチェックします。

基本的な運転課題

  • 発進・停止の基本操作
  • 右折・左折時の安全確認と操作
  • 一時停止標識での完全停止
  • 信号機のある交差点での適切な判断
  • 進路変更時のウインカー・ミラー・目視確認

次に交通ルールに関する課題があります。一時停止標識では完全に停止できているか、信号機のある交差点では適切に判断して通過できているかを確認します。特に一時停止では、多くの方が「止まったつもり」になりがちです。車が完全に静止する状態を3秒程度保つことが大切です。

進路変更の課題では、ウインカーの使用、ミラーでの確認、そして重要な目視確認ができているかを確認します。目視確認は首だけでなく、上半身をしっかりと振り向けて死角を確認することが求められます。加齢によって首の可動域が狭くなっている方も多いため、この点は特に重要です。

実車指導中は、ドライブレコーダーで運転の様子が記録されます。講習の最後には、録画された映像を見ながら指導員から個別のアドバイスを受けます。これにより、自分では気づかなかった運転のクセや注意点を客観的に把握することができます。

大切なことは、実車指導は試験ではないということ。間違いや改善点があっても不合格になることはありません。安全運転を続けるためのアドバイスをもらえる貴重な機会として活用したいですね。

ペーパードライバーでも受講が必要?

ペーパードライバーでも受講が必要?

ペーパードライバーの方が気になるのは「運転していないから高齢者講習は受けなくても良いのでは?」ということです。しかし、残念ながらペーパードライバーの方でも、普通自動車対応免許を持っている限り、高齢者講習の受講は義務となります。

運転頻度や運転経験は一切関係ありません。免許証に普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許のいずれかが記載されていれば、たとえ何年も運転していなくても受講が必要です。これは道路交通法で定められており、免除される制度はありません。

ペーパードライバーでも受講義務がある理由

  • 免許の種類のみで判定(運転頻度は無関係)
  • 将来的に運転する可能性への備え
  • 身体機能の現状把握と安全意識の向上
  • 免許返納を検討する際の判断材料

なぜペーパードライバーでも受講が必要なのでしょうか。その理由の一つは、今は運転していなくても、将来的に運転する可能性があるからです。例えば、家族の体調不良で急に運転が必要になったり、生活環境の変化で車が必要になったりすることがありますよね。

また、高齢者講習は単なる運転技術の確認だけでなく、身体機能の現状を把握する重要な機会でもあります。視力検査では、普段気づかない視力の変化を知ることができます。こうした情報は、今後の生活において貴重な判断材料となります。

とはいっても、何年も運転をしていない中、急に運転するのは怖いですよね・・・
そのような時は事前対策をしておきましょう。

ペーパードライバーの方ができる事前対策

  • ペーパードライバー向けスクールの受講(1~5回程度)
  • 教習所での練習講習の活用(高齢者講習前の準備)
  • 家族・友人からの基本操作レクチャー
  • 交通ルールの復習と標識の確認
  • 首や肩の柔軟性を高める軽い運動

運転に不安がある場合は、高齢者講習を受ける前に準備をすることができます。多くの教習所では、ペーパードライバー向けの練習コースが用意されています。1回2時間程度で基本操作から丁寧に教えてもらえるため、高齢者講習への不安を軽減できます。

また、家族に運転する方がいれば、車の基本操作について教えてもらうのも有効です。エンジンのかけ方、ギアの使い方、ペダルの位置確認など、まずは停止した状態で操作に慣れておくと安心です。

ペーパードライバーの方への実際の対応

  • 指導員による丁寧なサポート体制
  • 基本操作から段階的に指導
  • 無理な課題は強要せず個人のレベルに合わせた指導
  • 講習後の免許継続・返納についてのアドバイス

実車指導では、指導員がペーパードライバーの方に対して特別な配慮をしてくれます。まったく運転経験がない方や、何十年も運転していない方でも、基本操作から丁寧に教えてもらえます。教習所のコース内での運転なので、交通事故の心配もありません。

もし実車指導を受けた結果、「やはり運転は難しい」「今後も運転する予定がない」と感じた場合は、免許の自主返納を検討することもできます。講習後に指導員から客観的なアドバイスをもらえるので、今後の判断材料として活用しましょう。

つまり、ペーパードライバーであっても受講義務は免除されませんが、事前準備をしっかり行い、これを機会に自分の運転能力や今後の生活について考える良いきっかけと捉えることが大切です。

マニュアルとオートマどちらで実施?

マニュアルとオートマどちらで実施?

高齢者講習の実車指導は、オートマチック車で実施されます。普段マニュアル車しか運転していない方でも、講習ではオートマチック車を使用することになります。これは全国共通のルールで、車種を選ぶことはできません。

教習所で用意される車両は基本的にセダンタイプのオートマチック車です。マニュアル車での受講を希望してもできませんし、自分の車を持ち込むこともできません。これには安全面や講習の公平性を保つという明確な理由があります。

オートマ車を使用する理由

  • 全国統一での講習実施(公平性の確保)
  • 指導員用補助ブレーキの装備による安全確保
  • 操作の簡単さによる講習効率の向上
  • 現在の主流車種への対応

マニュアル車に慣れている方が心配されるのは、「オートマ車の操作が分からない」ということです。確かにクラッチ操作がないため、最初は違和感があるかもしれません。しかし、オートマ車の基本操作は比較的簡単で、短時間で慣れることができます。

オートマ車では、アクセルペダルとブレーキペダルの2つのペダルしかありません。発進時はブレーキペダルから足を離し、ゆっくりとアクセルペダルを踏むだけです。停止時はアクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルを踏みます。クラッチ操作やエンストの心配がないため、運転に集中できます。

オートマ車の基本操作

  • ペダルは2つのみ(アクセル・ブレーキ)
  • ギアは自動切り替え(P・R・N・D・2・Lなど)
  • 発進時:ブレーキ解除→ゆっくりアクセル
  • 停止時:アクセル解除→ブレーキ操作
  • クラッチ操作不要でエンストしない

ギアチェンジについても、パーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)の位置を覚えるだけです。通常の走行ではドライブ(D)に入れておけば、自動的にギアが変わります。坂道などで必要に応じて2やLギアを使用することもありますが、基本的にはDレンジだけで問題ありません。

実車指導の前には、指導員がオートマ車の基本操作について説明してくれます。また、コースに出る前に少し練習時間を設けてくれることもあります。分からないことがあれば、遠慮なく質問することができます。

ただし、オートマ車特有の注意点もあります。マニュアル車と違って、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進事故が起こりやすいとされています。右足一本でペダル操作を行うため、慌てた時に間違えやすいのです。講習では、正しいペダル操作について指導を受けることができます。

また、オートマ車はクリープ現象といって、アクセルペダルを踏まなくても車がゆっくりと前進する特性があります。この現象を理解していないと、停車時に予期せず車が動いてしまうことがあります。講習では、こうしたオートマ車特有の特性についても学ぶことができます。

マニュアル車しか運転したことがない方も、講習を機会にオートマ車の操作に慣れておくことをおすすめします。現在市販されている車の大部分がオートマ車であり、今後の運転継続を考える上でも有益な経験となるでしょう。

段差乗り上げなどの課題について

段差乗り上げなどの課題について

実車指導では、段差乗り上げをはじめとする複数の技術課題があります。これらの課題は、日常的な運転場面で必要となる技術を確認し、加齢による身体機能の変化に応じた安全運転のポイントを学ぶためのものです。

主要な技術課題

  • 段差乗り上げ:縁石のような段差を車で乗り上げる課題
  • S字コース:緩やかなカーブの連続通過
  • クランクコース:直角に近いカーブでの内輪差確認
  • パイロンスラローム:ジグザグ走行でのハンドル操作
  • 方向転換:バックでの180度転回
  • 見通しの悪い交差点:徐行と安全確認

段差乗り上げは、縁石のような段差を車で乗り上げる課題で、アクセルとブレーキの適切な操作技術を確認するものです。高齢者の運転で特に注意が必要なペダル操作の精度をチェックする重要な課題となっています。

段差乗り上げでは、まず段差の前で一時停止します。その後、ゆっくりとアクセルペダルを踏み込んで段差に乗り上げ、すぐにブレーキペダルを踏んで停止します。ここで重要なのは、急発進しないよう慎重にアクセル操作を行うことです。

段差乗り上げのポイント

  • 段差前での確実な一時停止
  • ゆっくりとしたアクセル操作(急発進防止)
  • 乗り上げ後の即座のブレーキ操作
  • 車体のバランス感覚の確認

多くの方が苦手とするのは、アクセルペダルの微調整です。普段の運転では意識せずに行っている操作ですが、加齢とともに足の感覚が鈍くなり、思ったより強くペダルを踏んでしまうことがあります。段差乗り上げでは、こうした微細な操作技術を確認します。

パイロンスラロームという課題では、等間隔に置かれたパイロン(コーン)の間をジグザグに通り抜けます。これはハンドル操作の正確性を確認する課題で、左右への細かなハンドル操作と、適切な速度調整が求められます。

S字コースやクランクコースでは、内輪差を理解した運転ができているかを確認します。内輪差とは、車が曲がる時に前輪と後輪の通る軌跡の違いのことです。特に狭い道でのカーブでは、後輪が内側を通るため、前輪の軌跡だけを意識していると後輪が縁石に接触してしまう可能性があります。

方向転換という課題では、車をバックさせて180度向きを変える技術を確認します。これは駐車場での切り返しや、狭い道での方向転換に必要な技術です。後進時の安全確認、ハンドル操作のタイミング、周囲の障害物との距離感覚などが評価されます。

見通しの悪い交差点では、建物などで交差する道路の様子が見えにくい状況での安全確認技術を確認します。停止線で一時停止した後、左右の安全確認をしながら徐行して進行します。高齢者の事故で多い出会い頭衝突を防ぐための重要な技術です。

これらの課題は、日常的な運転場面で必要となる技術です。例えば、駐車場での車庫入れ、狭い道でのすれ違い、坂道での発進などに応用できます。講習を通じて、改めて基本的な運転技術を確認し、今後の安全運転に活かせるでしょう。

重要なのは、これらの課題で完璧な操作を求められているわけではないということです。加齢による身体機能の変化を理解し、それに応じた安全運転の方法を学ぶことが目的です。失敗を恐れずに、指導員のアドバイスを積極的に受け入れることが大切です。

高齢者講習の実車指導の疑問と対策

  • 高齢者講習の実技の合格率は?不合格になることはある?
  • 車の持ち込みは可能?
  • テスト問題はどのようなもの?
  • 75歳以上の場合の違い・70歳から74歳までと異なる点
  • 運転に不安がある場合の対処法

高齢者講習の実技の合格率は?不合格になることはある?

高齢者講習の実技の合格率は?不合格になることはある?

多くの方が気になるのが「高齢者講習の合格率」や「不合格になる可能性」についてです。しかし、高齢者講習には合格や不合格という概念がありません。これは非常に重要なポイントです。

高齢者講習は「講習」であり「試験」ではありません。つまり、どんなに運転が上手くいかなくても、課題で失敗しても、不合格になることはありません。受講さえすれば、必ず「高齢者講習終了証明書」が交付されます。

では、なぜ多くの方が「合格率」や「不合格」について心配されるのでしょうか。この理由は「運転技能検査」という制度と混同されている方が多いからです。運転技能検査は75歳以上で一定の違反歴がある方が受ける実車試験です。こちらには合格基準があり、不合格の場合は免許更新ができません。

また、75歳以上の方が受ける「認知機能検査」というものもあります。こちらも高齢者講習とは別の制度です。この検査には判定があり「認知症のおそれあり」と判定された場合は、医師の診断が必要になります。

高齢者講習と他の検査の違い

  • 高齢者講習:試験ではない(合格・不合格なし)
  • 運転技能検査:試験に該当(75歳以上で違反歴がある方のみ)
  • 認知機能検査:検査(75歳以上全員、判定あり)

高齢者講習の実際の流れ

  • 課題で失敗しても指導員がアドバイス
  • 改善されなくても講習は継続
  • 全ての受講者が終了証明書を受け取れる
  • 運転継続についての助言を受けられる

高齢者講習の目的は、現在の運転能力や身体機能の状況を本人に認識してもらい、今後の安全運転につなげることです。評価や判定ではなく、教育と指導が主な目的です。

実車指導中に課題で失敗したり、指導員から注意を受けたりすることはあります。例えば、一時停止で完全に止まれなかった、クランクコースで縁石に接触しそうになった、段差乗り上げで急発進してしまった、などです。しかし、これらは全て学習の機会として捉えられ、指導員から適切なアドバイスを受けることができます。

仮に運転技術に大きな課題があった場合でも、講習が中止されることはありません。指導員は受講者の安全を最優先に考えながら、個人のレベルに合わせた指導を行います。危険な状況になりそうな場合は、指導員が補助ブレーキを使って安全を確保します。

ただし、講習を受けた結果、指導員から運転継続について慎重な検討を促されることはあります。これは不合格という意味ではなく、安全のための助言です。最終的な判断は受講者本人と家族に委ねられます。指導員は客観的な立場から、運転能力の現状と今後の注意点について説明してくれます。

高齢者講習は自分の運転を客観的に見直す良い機会になります。普段は気づかない運転のクセや、加齢による身体機能の変化を専門的な視点から教えてもらえる貴重な時間です。

安全運転のための学習機会として積極的に活用したいですね。講習後には、今後の運転について家族と話し合う良いきっかけにもなるでしょう。

車の持ち込みは可能?

車の持ち込みは可能?

高齢者講習では、自分の車を持ち込んで受講することはできません。実車指導では、教習所が用意した車両を使用することが決められています。この決まりについて「普段乗っている車の方が運転しやすいのに」と思われる方も多いですが、明確な理由があります。

車持ち込みができない理由

  • 安全面:指導員用補助ブレーキの装備が必要
  • 車両状況:定期点検整備済みの車両での実施が必須
  • 講習の公平性:全受講者が同一条件での受講が原則
  • 保険対応:教習所の保険適用範囲での実施が必要

最も重要な理由は安全面の問題です。教習所の車両には指導員用の補助ブレーキが装備されています。もし受講者の運転で危険な状況が発生した場合、指導員が即座にブレーキを踏んで事故を防ぐことができます。個人の車にはこのような安全装置がないため、万が一の際に対応できません。

また、車両の点検整備状況も重要な要素です。教習所の車両は定期的に点検整備が行われ、常に安全な状態が保たれています。ブレーキやタイヤ、エンジンなどの主要部品について、専門的な点検が実施されています。一方、個人の車両については点検状況が分からないため、講習中に故障などのトラブルが発生する可能性があります。

さらに、講習の公平性を保つという観点もあります。受講者によって異なる車両を使用すると、車の性能や操作感の違いが講習内容に影響を与える可能性があります。同一の車両を使用することで、全ての受講者が同じ条件で講習を受けることができます。

使用される車両は基本的にセダンタイプのオートマチック車です。多くの教習所では、一般的な乗用車サイズの車両を用意しています。普段軽自動車に乗っている方には大きく感じるかもしれませんが、指導員が操作方法について丁寧に説明してくれます。

使用される車両の特徴

  • セダンタイプのオートマチック車が基本
  • 指導員用補助ブレーキとミラー装備
  • 定期点検整備済みで安全性が確保済み
  • ドライブレコーダー搭載で運転状況を記録
  • 一般的な乗用車サイズで標準的な操作感

車両に慣れるための時間も設けられています。実車指導の最初に、座席の調整、ミラーの調整、ペダルの位置確認などを行います。また、コースに出る前に駐車場などで基本操作を練習することもあります。運転席からの視界や車両感覚に慣れるまで、十分な時間をかけてもらえます。

普段の車と大きく異なる点として、車幅の違いがあります。軽自動車から普通車に変わると、内輪差の感覚や車両の大きさに戸惑うことがあります。特にS字コースやクランクコースでは、普段より慎重な操作が求められます。

もし普段の車と大きく異なる車種で不安がある場合は、講習前に指導員に相談することができます。可能な範囲で操作方法について詳しく説明してもらえます。また、講習後に「普段の車での運転で気をつけるべき点」についてもアドバイスを受けることができます。

重要なのは、教習所の車での講習結果を普段の運転にどう活かすかということです。講習で指摘された注意点や改善点は、車種に関係なく安全運転に必要な要素です。

テスト問題はどのようなもの?

テスト問題はどのようなもの?

「高齢者講習にテスト問題はありますか?」という疑問を持たれる方が多いですが、高齢者講習にはテスト問題はありません。筆記試験や実技試験のような形式の問題は一切出題されません。

この誤解が生まれる理由として、75歳以上の方が受ける「認知機能検査」と混同している方が多いようです。認知機能検査では、イラストを記憶する問題や時間感覚を問う問題が出題されますが、これは高齢者講習とは別の検査です。また、75歳以上で違反歴がある方が受ける「運転技能検査」も試験形式ですが、これも高齢者講習とは別のものです。

高齢者講習で行われること

  • 座学:DVD視聴と双方向型の質疑応答
  • 運転適性検査:4種類の視力検査(合否判定なし)
  • 実車指導:コース内での運転練習と指導

高齢者講習の座学部分では、DVDを視聴したり指導員の話を聞いたりしますが、これも一方的な講義ではありません。時々質問されることはありますが、正解・不正解を判定するテストではなく、理解度を確認したり考えを深めたりするための対話です。

例えば、「こんな場面ではどうしますか?」「この標識の意味は分かりますか?」といった質問があります。これらは知識を問うというより、日頃の運転について振り返ってもらうためのものです。間違えても問題ありませんし、分からなければ指導員が丁寧に説明してくれます。答えられないことで減点されたり、講習が不合格になったりすることはありません。

混同されやすい他の検査・試験

  • 認知機能検査:75歳以上全員が対象(イラスト記憶・時間感覚の問題あり)
  • 運転技能検査:75歳以上で違反歴がある方のみ(実車試験で合格基準あり)
  • 臨時適性検査:認知症の疑いがある場合の医師による検査

運転適性検査では視力検査を行いますが、これもテストというより健康診断のようなものです。静止視力、動体視力、夜間視力、視野検査の4つを機器を使って測定します。結果によって合格・不合格が決まることはありません。ただし、視力が著しく低下している場合は、眼鏡の使用を勧められたり、眼科での検査をアドバイスされたりすることがあります。

実車指導についても、運転技術を評価するテストではありません。課題はありますが、これらは運転能力を測定するためではなく、安全運転のポイントを確認し、必要に応じてアドバイスを受けるためのものです。一時停止で完全に止まれなかった、クランクで縁石に近づきすぎた、などがあっても、それは学習機会として捉えられます。

つまり、高齢者講習に向けて特別な勉強や準備をする必要はありません。普段通りの状態で受講すれば十分です。ありのままの状態で受講することで、より適切なアドバイスを受けることができます。

もし交通ルールに不安がある場合は、道路交通法の基本的な内容を復習しておきましょう。ただし、これは試験対策ではなく、安全運転のための知識の確認です。信号の意味、標識の種類、一時停止の方法など、基本的な内容を思い出しておけば十分です。

高齢者講習は、テストで評価される場ではなく、安全運転について学び、自分の運転を見直す機会です。リラックスして、指導員からのアドバイスを積極的に受け入れる姿勢で臨むことが大切です。

75歳以上の場合の違い・70歳から74歳までと異なる点

75歳以上の場合の違い・70歳から74歳までと異なる点

75歳以上の人の高齢者講習には、70歳から74歳の人とは異なる点がいくつかあります。最も大きな違いは、高齢者講習を受ける前に「認知機能検査」を受けなければならないことです。これは法律で定められており、75歳以上の人全員が対象となります。

認知機能検査は記憶力や判断力を測定する検査で、約30分間で実施されます。16個のイラストを記憶する「手がかり再生」と、検査時の年月日や時刻を答える「時間の見当識」という2つの検査があります。検査結果によって「認知症のおそれなし」または「認知症のおそれあり」と判定されます。

75歳以上の方が受ける追加の検査・試験

  • 認知機能検査:全員が対象(約30分・1,050円)
  • 運転技能検査:違反歴がある方のみ(合格が免許更新の条件)
  • 臨時適性検査:認知症の疑いがある場合の医師診断

認知症のおそれありと判定された場合は、医師の診断を受ける必要があります。医師が認知症と診断した場合は、免許の取り消しや停止処分となる可能性があります。一方、認知症のおそれなしと判定された場合は、通常通り高齢者講習を受講できます。

また、75歳以上で過去3年間に一定の違反歴がある方は、「運転技能検査」という実車試験を受ける必要があります。この検査は高齢者講習とは別物で、合格しなければ免許を更新することができません。

違反の種類具体例
信号無視赤信号での交差点進入
速度超過制限速度を大幅に超える運転
一時停止違反停止線での確実な停止を怠る
携帯電話使用運転中のスマートフォン操作
横断歩行者等妨害横断歩道での歩行者妨害
通行区分違反対向車線へのはみ出し運転
交差点安全進行義務違反交差点での安全確認不足
安全運転義務違反脇見運転やハンドル操作不適切

運転技能検査に合格した人は、高齢者講習での実車指導が免除されます。つまり、座学と運転適性検査のみの1時間講習となり、料金も2,900円になります。これは、運転技能検査で既に実車での技能確認が済んでいるためです。

75歳以上の高齢者講習の特徴

  • 講習時間:3時間(70~74歳は2時間)
  • 料金:7,950円(実車指導免除の場合は2,900円)
  • 実車指導:認知機能検査結果により3つの方式に分かれる
  • 個別指導:ドライブレコーダー映像を活用した詳細な指導

高齢者講習の内容自体も、75歳以上の方向けに一部カスタマイズされています。特に実車指導では、認知機能検査の結果に応じて3つの方式があります。認知症のおそれが最も少ない方は「ノンストップ方式」、中程度の方は「ステップアップ方式」、認知症のおそれがある方は「まとめ診断方式」で実施されます。

これらの方式では課題の数や実施方法が異なります。例えば、ノンストップ方式では一通り課題を行った後で失敗した部分をやり直しますが、ステップアップ方式では失敗した時点でその課題をやり直します。まとめ診断方式では、全ての課題を終えた後にまとめて指導を受けます。

75歳以上の方の講習時間は3時間と、70歳から74歳の方より1時間長くなります。これは、より丁寧な指導と個別アドバイスの時間を確保するためです。特にドライブレコーダーで録画された映像を使った個別指導では、運転のクセや改善点について詳しく説明を受けることができます。

料金についても、75歳以上の方は7,950円と高くなります。ただし、運転技能検査を受けて合格した方で実車指導が免除される場合は2,900円となります。認知機能検査の料金1,050円は別途必要です。

なお、75歳以上の方でも運転技能検査の対象にならない人は多くいます。過去3年間に該当する違反がなければ、認知機能検査と高齢者講習のみで免許更新が可能です。違反歴がない安全運転を心がけていれば、特別に複雑な手続きは必要ありません。

重要なのは、これらの制度は75歳以上の方の安全運転をサポートするためのものであるということです。追加の検査や講習は負担に感じるかもしれませんが、自分の運転能力を客観的に把握し、今後の安全運転に活かすための重要な機会として活用していきましょう。

参考リンク: 警察庁「運転技能検査について」

運転に不安がある場合の対処法

運転に不安がある場合の対処法

高齢者講習を受けた結果、「運転に不安を感じた」「今後の運転継続に迷いがある」と考える人も少なくありません。このような場合、慌てて判断する必要はありません。まずは現在の状況を整理し、利用できる対処法を検討してみましょう。

運転に不安がある場合の選択肢は、大きく分けて「運転継続のための対策」と「免許返納の検討」の2つに分かれます。どちらが良いかは個人の状況や生活環境によって異なるため、家族とよく話し合って決めることが大切です。

運転継続のための対策

  • 教習所でのリフレッシュ講習受講
  • 運転する条件や範囲の限定(昼間のみ、近距離のみなど)
  • 家族同乗での練習運転
  • 車両の安全装置充実(自動ブレーキ搭載車への買い替え)
  • 定期的な健康チェックと視力検査

運転を継続したい場合は、まず技術向上のための対策を検討しましょう。多くの教習所では、高齢者向けのリフレッシュ講習を実施しています。これは高齢者講習とは別の任意の講習で、苦手な技術を重点的に練習することができます。

また、運転する条件を限定することも有効な対策です。例えば、夜間や雨天時の運転は避ける、高速道路は使わない、慣れた道路のみを運転する、などの制限を設けることで安全性を高めることができます。家族と相談して、無理のない範囲での運転継続を検討しましょう。

車両面での対策も重要です。現在は自動ブレーキや誤発進抑制装置などの安全技術が搭載された車が多く販売されています。これらの機能は高齢者の運転をサポートし、事故のリスクを大幅に減らすことができます。

一方で、運転継続に大きな不安がある場合は、免許の自主返納も重要な選択肢です。返納を検討する際は、まず代替交通手段を確認しましょう。公共交通機関の利用方法、タクシーの料金体系、家族による送迎の可能性などを具体的に調べることが大切です。

免許返納を検討する場合のポイント

  • 代替交通手段の確認(バス・タクシー・家族送迎など)
  • 免許返納後の特典調査(自治体による割引サービスなど)
  • 運転経歴証明書の取得(身分証明書として使用可能)
  • 生活必需品の配達サービス活用
  • 地域の高齢者支援サービス利用

多くの自治体では、免許を返納した高齢者に対して様々な特典を用意しています。公共交通機関の割引、タクシー料金の補助、商店での割引サービスなどがあります。お住まいの自治体のホームページや窓口で確認してみましょう。

また、免許返納時には「運転経歴証明書」を申請することができます。これは運転免許証に代わる身分証明書として使用でき、銀行での手続きや各種サービスの利用時に便利です。

近年は、高齢者向けの宅配サービスや移動販売なども充実しています。食材や日用品の配達サービス、訪問医療サービス、地域のボランティア送迎サービスなど、車がなくても生活できる環境が整いつつあります。

どちらの選択をする場合でも、一人で悩まずに家族や信頼できる人に相談することが重要です。高齢者講習の指導員からのアドバイスも参考にしながら、自分にとって最適な選択を見つけていきましょう。何より大切なのは、自分と周囲の人々の安全を最優先に考えることです。

高齢者講習の実車指導の内容まとめ

  • 高齢者講習の実車指導は70歳以上の免許更新時に必須の講習で合否はない
  • 普通自動車対応免許保持者は実車指導あり
  • 原付・二輪・小特・大特のみの場合は実車指導なし
  • ペーパードライバーでも普通免許があれば実車指導の受講が義務
  • 運転頻度に関係なく免許の種類のみで実車指導の有無が決まる
  • 教習所が用意するオートマチック車のセダンタイプで実施される
  • 自分の車の持ち込みは不可で、指導員用補助ブレーキ装備車を使用
  • 約60分間でコース内の基本運転操作と安全確認を中心に指導
  • 段差乗り上げ・S字・クランク・方向転換などの技術課題がある
  • ドライブレコーダーで運転を記録し後で映像を見ながら個別指導
  • どんなに運転が上手くいかなくても終了証明書は必ず交付される
  • 75歳以上の場合、認知機能検査を事前に受け講習時間も3時間に延長
  • 高齢者講習の結果をもとに運転継続か免許返納かを家族と相談して判断する
  • 運転に不安がある場合は教習所のリフレッシュ講習の活用も選択肢

-暮らし・生活