「老後の海外旅行は何歳まで可能なのか」「歩行に不安があっても海外旅行を楽しめるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実は、適切な準備とプランニングがあれば、高齢者でも歩かない海外旅行を十分に楽しむことができます。
この記事では、高齢者が行きたい国、行きやすい国、そして反対に高齢者が行かないほうが良い国の情報を解説します。さらに、高齢者向けツアーをはじめとするおすすめのツアー選び方から、高齢者旅行の付き添いサービスの活用法までプランの選び方をご紹介。
また、気になる、高齢者の海外旅行費用の相場や、高齢者の海外旅行保険のおすすめ選び方についても具体的な金額とともにご紹介します。歩行に不安がある方や車椅子を利用されている方でも、クルーズ船やホテル滞在型など様々な旅行スタイルから選ぶことで、無理なく海外の美しい景色や文化を満喫することができます。
年齢を重ねても諦める必要はありません。この記事を参考に、安全で快適な海外旅行を実現しましょう。
目次
高齢者が歩かない海外旅行を実現する方法
- 老後の海外旅行は何歳まで可能?
- 高齢者が行きたい国はどこ?
- 高齢者が行きやすい国はどこ?
- 高齢者が行かないほうが良い国は?
- 高齢者旅行の付き添いサービス活用法
老後の海外旅行は何歳まで可能?

「何歳になったら海外旅行は諦めなければいけないの?」と不安に思う方も多いでしょう。実は、海外旅行には年齢制限がありません。健康状態が許す限り、何歳でも海外旅行を楽しむことができます。
ただし、ツアー会社や保険会社によっては、一定の年齢で条件が変わることもあります。特に以下のような場合には注意が必要です。
年齢による制限が設けられる主なケース:
- 登山やウィンタースポーツなど体力を必要とするツアー(健康診断書の提出が必要)
- 75歳以上での保険加入(保険料の増額や適用範囲の変更)
- 80歳以上でのツアー参加(事前の健康チェックや医師の許可が必要)
- 特定の医療機器を使用している場合(航空会社への事前連絡が必要)
実際に、80歳を超えてから初めて海外旅行を体験する方もたくさんいます。ある80代の女性は、車椅子を利用しながらイタリアやハワイを訪れ、人生最高の思い出を作ったという話もあります。また、90歳を超えてもマカオ旅行を楽しんだ方の事例もあり、適切なサポートがあれば年齢は決して障害になりません。
大切なのは、体力や体調に合わせた無理のない計画を立てることです。歩行距離を最小限に抑えたり、ゆったりとしたスケジュールを組んだりすることで、年齢に関係なく素敵な海外旅行を実現できるでしょう。さらに、医師との相談や健康チェックを怠らず、旅行先の医療事情についても事前に調べておくことが重要です。
高齢者が安全に海外旅行を楽しむためのポイント:
- 旅行前2-4週間前の健康診断と医師への相談
- 常備薬の十分な準備と英語での病状説明文書の作成
- 緊急連絡先リストの準備と家族への行程表の共有
- 旅行保険への加入と現地医療機関の事前調査
高齢者の海外旅行では、体調の変化に対応できる柔軟性も必要です。疲れた時にはホテルで休憩を取ったり、予定を変更したりできるよう、余裕のあるスケジュールを心がけることが、安全で楽しい旅行につながります。年齢を重ねても、適切な準備と配慮があれば、海外の素晴らしい文化や景色を存分に堪能することができます。
高齢者が行きたい国はどこ?

シニア世代の方が最も行きたいと思っている海外旅行先について、興味深いデータがあります。HISシニア世代向け調査によると、行ったことがないが行きたい海外旅行先として、北欧、東南アジアが上位にランクインしています。
行ったことがないが行きたい海外旅行先の特徴:
- 第1位:北欧(フィンランド、ノルウェー、デンマーク)
- 人気エリア:東南アジア(アクセスが良く、物価も魅力的)
- 憧れの地:スペイン(サグラダファミリア、グルメツーリズム)
- 歴史ロマン:ローマ(歴史遺産、2025年聖年)
北欧は美しい自然と福祉先進国としての魅力があり、オーロラ観賞なども人気です。フィンランドやノルウェー、デンマークといった国々は、社会保障が充実しており、高齢者にとって安心感のある環境が整っています。また、夏季は涼しく過ごしやすい気候で、白夜という特別な体験も味わえます。特にオーロラ観賞は、座ったまま楽しめる自然現象として、歩行に不安がある方にも人気が高いです。
スペインはサグラダファミリアなどの建築美や温暖な気候が魅力で、2026年の完成を前に訪れたいと考える方が多いようです。ガウディの作品群や美術館巡りは、比較的歩行距離を抑えながら楽しめる観光として評価されています。また、スペイン料理がユネスコの無形文化遺産に登録されていることもあり、グルメを楽しみたい方にも人気があります。
ローマは歴史ある建造物や芸術作品を間近で見られることから、長年の憧れを持つ方が少なくありません。コロッセオやバチカン市国などの世界遺産は、人生で一度は見てみたいと思う方が多い場所です。特に2025年は25年に1度の聖年にあたるため、この機会に訪れたいと考える方が増えています。
一方で、再び訪れたい国としては、ハワイ・グアム・サイパンなどの南国リゾートが最も人気です。
また行きたい海外旅行先TOP3:
- 第1位:ハワイ・グアム・サイパン(日本語対応、医療体制充実)
- 第2位:パリ(芸術・文化、バリアフリー進展)
- 第3位:ローマ(歴史的魅力、アクセス改善)
また、パリやローマといったヨーロッパの都市も、一度訪れるとその魅力に惹かれ、再訪を希望する方が多いことが分かります。興味深いのは、「新婚旅行で行った場所にもう一度行ってみたい」という声も多く、思い出の地を再訪することで、人生を振り返る機会にもなっているようです。
高齢者が行きやすい国はどこ?

体力面や言語面を考慮すると、高齢者の方にとって旅行しやすい国がいくつかあります。
地域 | フライト時間 | 時差 | 日本語対応 | 医療体制 | バリアフリー | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|---|---|
ハワイ | 7時間 | 19時間 | ◎ | ◎ | ◎ | ★★★ |
台湾 | 4時間 | 1時間 | ○ | ○ | ○ | ★★★ |
タイ | 7時間 | 2時間 | ○ | △ | △ | ★★☆ |
シンガポール | 7.5時間 | 1時間 | ◎ | ◎ | ◎ | ★★★ |
ヨーロッパ (クルーズ) | 12時間 | 8時間 | △ | ◎ | ◎ | ★★☆ |
最も行きやすいのは、やはり定番のハワイです。フライト時間は約7時間と比較的短く、時差があるものの体への負担は比較的少なく済みます。多くの場所で日本語が通じ、病院でも日本語対応が可能な施設が充実しており、バリアフリー設備も完備されています。
アジア圏では、台湾とタイが特におすすめです。台湾はフライト時間が約4時間と短く、親日的で治安も良好です。夜市での食べ歩きや温泉など、歩行距離を調整しながら楽しめるスポットが豊富にあります。また、漢字文化圏であることから、看板や案内が理解しやすく、迷子になるリスクも低いです。MRT(地下鉄)は主要駅ではエレベーターが設置されており、車椅子での移動も比較的容易です。
タイは物価が安く、日本人観光客も多いため、現地での生活に慣れやすい環境が整っています。バンコクの大型ショッピングモールは冷房が効いており、暑さを避けながら買い物や食事を楽しめます。また、タイ古式マッサージやスパなど、リラクゼーション施設が充実しているため、疲れを癒しながら旅行を楽しむことができます。
シンガポールも高齢者にとって旅行しやすい国の一つです。国全体がコンパクトで移動距離が短く、公共交通機関も発達しています。多民族国家であるため英語が広く通じ、中華系住民も多いことから漢字の表記も見かけることができます。また、治安が非常に良く、街も清潔に保たれているため、初めての海外旅行でも安心して過ごせるでしょう。
ヨーロッパを希望する場合の対応
- クルーズ船旅行:移動負担が少なく高齢者に最適
- 観光列車利用:座ったまま景色を楽しめる、歩行負担最小限
- 都市間移動は高速鉄道:快適な座席、短時間移動、駅構内バリアフリー
- バリアフリーホテル重視:エレベーター完備、車椅子対応客室
ヨーロッパを希望する場合は、クルーズ船での旅行が特におすすめです。これらの国々は、バリアフリー設備も比較的整っているため、車椅子を利用する方でも安心して旅行を楽しむことができます。
高齢者が行かないほうが良い国は?

残念ながら、高齢者の方にはおすすめできない国や地域もあります。まず避けた方が良いのは、外務省が渡航危険レベル3以上を発出している国々です。これには、アフガニスタン、シリア、イラクなどが含まれ、安全面で深刻なリスクがあります。世界平和度指数やテロ指数の高い国々も、高齢者には適さない旅行先といえるでしょう。
高齢者が避けるべき国・地域の特徴:
- 治安面:外務省渡航危険レベル3以上、テロや紛争のリスクが高い国
- 医療面:医療水準が低い、日本語対応不可、医療費が極端に高額
- 気候面:極端な暑さ(40度超)、高地(標高3000m超)、大きな気温差
- インフラ面:バリアフリー未整備、石畳や段差多数、エレベーター不足
また、治安面以外でも注意が必要な国があります。医療水準が低い国では、万が一の体調不良や怪我の際に、適切な治療を受けられない可能性があります。フィリピンのセブ島なども美しいリゾート地ですが、医療施設の質に不安があるため、持病をお持ちの方には慎重な検討が必要です。特に心疾患や糖尿病などの持病がある場合、現地での医療対応が困難になるリスクが高まります。
気候面でも配慮が必要で、極端に暑い国や高地の国は体への負担が大きくなります。例えば、インドの夏季は気温が40度を超える地域もあり、熱中症のリスクが非常に高くなります。南米の高地都市(ラパスやクスコなど)は標高が3,000メートルを超えるため、高山病の危険があります。また、エジプトやモロッコなどの砂漠地帯も、昼夜の気温差が激しく、体調管理が困難な場合があります。
さらに、石畳の道が多いヨーロッパの旧市街地も、足腰に不安がある方には歩きにくい場合があります。イタリアのベニスやクロアチアのドゥブロヴニクなどは美しい街並みですが、階段や段差が多く、車椅子での移動が困難な場所が少なくありません。また、古い建物が多いため、エレベーターが設置されていない宿泊施設もあります。
言語面での障壁が大きい国も注意が必要です。英語が通じない地域や、文字が読めない国では、緊急時の対応が困難になる可能性があります。特に、ロシアや中東諸国などは、日本人観光客が少なく、現地での日本語サポートも期待できません。
注意が必要な具体的な国・地域の例:
- 医療面で不安:フィリピン(セブ島など)、カンボジア、ミャンマー
- 気候が厳しい:インド(夏季)、ペルー(高地)、モロッコ(砂漠地帯)
- インフラ未整備:東欧の一部、アフリカ諸国、中央アジア
- 言語の壁が高い:ロシア、中東諸国、アフリカ諸国
食文化の違いが大きい国も、高齢者には負担となる場合があります。極端に辛い料理や、生ものが多い国では、お腹を壊すリスクが高くなります。また、食材や調理法が大きく異なる国では、栄養バランスを保つことが困難になる場合もあります。
ただし、これらの国でも適切な準備とサポートがあれば旅行は可能です。専門の付き添いサービスを利用したり、医療体制の整ったツアーを選んだりすることで、リスクを最小限に抑えながら旅行を楽しむことができます。重要なのは、自分の体調や能力を正確に把握し、無理のない旅行計画を立てることです。
参考リンク: 外務省 海外安全ホームページ
高齢者旅行の付き添いサービス活用法

海外旅行に不安を感じる方には、付き添いサービスの利用も検討しましょう。
介護の専門知識を持つスタッフが旅行に同行し、移動や観光をサポートしてくれるサービスもあります。近年、高齢化社会の進展とともに、このようなサービスの需要が急速に高まっています。
主要な付き添いサービス提供会社の比較:
- NPO法人しゃらく:看護師+介護士同行、要介護3-5対応、6,000人超の実績
- HISユニバーサルツーリズムデスク:20年以上の実績、リピート率80%以上
- 株式会社あんしんトラベル:介護ヘルパー同行、1日25,000円~
- 日本介護トラベルサービス:介護スタッフ同行、きざみ食・ミキサー食対応
代表的なサービス提供会社として、NPO法人しゃらくや株式会社あんしんトラベルがあります。しゃらくでは、看護師と介護士が同行するオーダーメイド旅行を提供しており、要介護3から5の方でも海外旅行を実現しています。これまでに6,000人を超えるお客様の旅行をサポートし、事故ゼロという実績を誇っています。料金は介護度によって異なり、軽度の方で1時間3,000円、重度の方で1時間4,000円程度が目安となっています。
実際の利用例として、92歳の要介護2の方がマカオ旅行を楽しんだケースや、60歳の重度障害者の方がエーゲ海クルーズを体験したケースが紹介されています。また、84歳の要介護1の方が立山・黒部アルペンルートを巡った事例では、車椅子での移動をサポートしながら、雄大な自然を満喫できたという報告もあります。
HISのユニバーサルツーリズムデスクも、20年以上の実績を持つ信頼できるサービスです。車椅子利用者向けのツアーや、医療機器を使用する方への対応も可能で、リピート率が80%以上と高い満足度を誇っています。添乗員は福祉の知識を持つ専門スタッフが務めるため、突発的なトラブルにも適切に対応してくれます。
付き添いサービスでは、移動介助だけでなく、食事介助や入浴介助、薬の管理なども含まれています。また、流動食などの特別な食事が必要な場合も、事前に準備してくれます。さらに、現地での緊急時には、24時間体制でサポートを受けることができるため、家族も安心して送り出すことができます。
付き添いサービス利用時の準備事項:
- 事前アセスメント:健康状態の詳細な確認と旅行中のリスク評価
- 必要書類準備:健康診断書(3ヶ月以内)、介護計画書、薬剤情報提供書
- 保険加入:海外旅行保険+介護特約、緊急搬送費用補償の確認
- 緊急連絡体制:24時間対応の連絡先確保、現地医療機関の事前調査
利用する際は、事前に健康状態や必要なサポート内容を詳しく相談することが大切です。アセスメント(健康状態の評価)を行い、旅行中のリスクを最小限に抑えるための準備を入念に行います。また、旅行保険への加入や、かかりつけ医からの診断書準備なども忘れずに。
費用は通常の旅行より高くなりますが、安心して旅行を楽しめる価値は十分にあります。
参考リンク:
高齢者の歩かない海外旅行プラン選び
- おすすめの歩かない海外旅行スタイル
- 高齢者向けツアーの選び方
- JTB高齢者向けツアーの特徴
- 高齢者海外旅行保険のおすすめ選び方
- 高齢者の海外旅行費用はいくら?
おすすめの歩かない海外旅行スタイル

歩行に不安がある方でも、工夫次第で素晴らしい海外旅行を体験できます。ここでは、特におすすめの旅行スタイルを4つのカテゴリーに分けてご紹介します。
クルーズ船を活用した旅行
最もおすすめなのは、クルーズ船を利用した旅行スタイルです。船が移動するホテルの役割を果たすため、毎日荷物をパッキングする必要がなく、複数の国や港を訪れながらも移動の負担を最小限に抑えられます。
- 移動がホテル内で完結:荷物の移動不要、毎日の宿泊先変更なし
- 医師常駐で安心:24時間医療サポート、緊急時の対応体制完備
- バリアフリー完備:車椅子対応客室、エレベーター全館設置
- 多様な食事選択:ブッフェ~個別対応、食事制限にも柔軟対応
クルーズ船には医師が常駐しており、高齢者が多いことを想定したバリアフリー設計が施されています。エレベーターや車椅子対応の客室はもちろん、車椅子のまま参加できるショーや、介助が必要な方向けの特別なサービスも充実しています。
乗り物中心の観光スタイル
乗り物を中心とした観光も、歩かない旅行の代表例です。例えば、イタリアのベニスではモーターボートで運河を巡りながら美しい街並みを堪能できます。
カナル・グランデ遊覧では、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂から始まり、リアルト橋をくぐりながら、かつてのベネチア共和国の繁栄を感じることができます。
- 遊覧飛行・ヘリコプター:空からの絶景、オーストラリア・ハワイ等
- ボート・クルーズ:水上からの景色、ベニス運河・フィヨルド等
- モーターボート:小回りが利く、静かな運河や湖面を巡回
- グラスボトムボート:座ったまま海中観察、サンゴ礁や魚類鑑賞
オーストラリアでは遊覧飛行でグレートバリアリーフの絶景を空から眺めることができ、歩くことなく圧倒的な自然の美しさを体感できるでしょう。約2,300キロにわたって続く世界最大のサンゴ礁地帯を上空から見下ろすと、ターコイズブルーから深い青色まで、見渡す限り広がる青の世界に圧倒されます。
ホテル滞在型のゆったり旅行
ホテル滞在型の旅行スタイルもおすすめです。景色の良い高級ホテルに連泊し、客室やレストランからの眺望を楽しんだり、ホテル内のスパやマッサージを利用したりして、ゆったりとした時間を過ごせます。
ニュージーランドのマウントクック近くのハーミテージホテルでは、客室から直接、雄大な山々の景色を楽しめる施設もあります。
- 客室から絶景:窓一面に広がる景色、朝焼け・夕焼けを堪能
- ホテル内施設充実:温泉・スパでリラックス、レストランで地元料理
- 連泊でゆとり:荷物移動なし、体調に合わせた自由なスケジュール
- 24時間サポート:フロントデスク常駐、緊急時の安心サポート
朝焼けや夕焼けに染まるマウントクックの眺望を、ベッドで横になりながら楽しめるのは贅沢な体験です。また、ホテル内でのんびり過ごすことで、旅行中の疲れを蓄積させることなく、快適な滞在を実現できます。
観光列車・ケーブルカーでの移動観光
観光列車やケーブルカーを活用した旅行も魅力的です。車窓からの景色を座ったまま楽しめるため、体力を消耗することなく観光地の魅力を満喫できます。
- 車窓から絶景鑑賞:スイス氷河特急、ノルウェーフィヨルド列車
- 座席でゆったり:指定席確保、車内サービス充実
- 高低差も楽々:ケーブルカー・ロープウェイで山頂へ
- 移動自体が観光:乗車体験そのものが旅の思い出
スイスの氷河特急では、アルプスの雄大な景色を眺めながら約8時間の鉄道旅行を楽しめます。また、ハワイのダイアモンドヘッド登山では、車でほぼ頂上まで行けるため、短時間の歩行で絶景を楽しめます。
高齢者向けツアーの選び方

高齢者向けのツアーを選ぶ際は、いくつかの重要なポイントがあります。まず確認したいのは、ツアーの歩行距離と移動方法です。1日の歩行時間が明記されているツアーを選び、乗り物での移動が中心となっているかを確認しましょう。
クラブツーリズムの「ゆったり旅」シリーズでは、毎日の歩行時間を具体的に表記しており、休憩時間や立ち止まっての説明時間は含まれていないため、実際の歩行負担を正確に把握できます。
ツアー選びの基本チェックポイント:
- 歩行距離・時間:1日の歩行時間明記、乗り物移動中心、休憩時間の確保
- 連泊プラン:3連泊以上、荷物移動なし、ゆとりあるスケジュール
- 参加者層:65歳以上限定、同世代参加者、ペースを合わせやすい
- 添乗員同行:日本から同行、経験豊富、緊急時対応可能
また、連泊が基本となっているツアーは、毎日荷物の整理をする必要がなく、疲労を蓄積させない点でおすすめです。3連泊以上のツアーを選ぶことで、到着日は休息に充て、翌日から観光を楽しむといったゆとりのあるスケジュールが可能になります。宿泊施設の立地も重要で、観光地や駅に近い場所にあることで、移動時間を短縮できます。
参加者の年齢層も重要な判断材料になります。65歳以上限定のツアーや、平均年齢が70歳以上のツアーは、同世代の方と一緒に旅行できるため、ペースが合いやすく安心です。また、添乗員が日本から同行するツアーを選ぶことで、言語の心配をせずに旅行を楽しめます。経験豊富な添乗員なら、現地での突発的なトラブルにも適切に対応してくれるでしょう。
バス移動の場合は、トイレ付きバスを使用しているかどうかも確認ポイントです。また、バス1台あたりの参加人数が制限されているツアーの方が、一人ひとりへの配慮が行き届きます。
宿泊施設の条件も見逃せません。ベッドルーム確約、エレベーター完備、バリアフリー対応といった記載があるツアーは、体への負担を軽減してくれます。
食事についても、椅子とテーブル席が確約されているかどうかを確認しておきましょう。和食や座敷での食事は、足腰に負担をかける場合があります。また、食事制限がある場合は、事前にツアー会社に相談し、対応可能かどうかを確認することが大切です。
安心・安全な旅行のための確認事項:
- 宿泊設備:ベッドルーム確約、エレベーター完備、バリアフリー対応
- 食事条件:椅子テーブル席確約、食事制限対応、アレルギー配慮
- 緊急時対応:現地医療機関連携、日本語対応病院情報、24時間サポート
- 保険・キャンセル:旅行保険内容確認、キャンセル規定、変更手数料
緊急時の対応体制についても事前に確認が必要です。現地での医療機関との連携や、日本語対応可能な病院の情報を持っているツアー会社を選ぶと安心です。
また、旅行保険の内容や、キャンセル料の規定についても、出発前にしっかりと確認しておくことが大切です。体調不良による急なキャンセルにも柔軟に対応してくれるツアー会社を選ぶと、より安心して申し込むことができます。
JTB高齢者向けツアーの特徴

JTBでは、高齢者の方々に配慮した様々な海外旅行サービスを提供しています。特に注目すべきは、JTBロイヤルロード銀座が提供する「JTBカルテット」です。このサービスは、シニア層に配慮した高品質な海外ツアーとして、2024年から本格的に展開されています。
JTBカルテットの主な特徴:
- 少人数グループ:添乗員同行で最少催行6名、最大募集10名までの少人数制
- ゆとりある旅:お客様の希望やこだわりに寄り添った"ゆとりの旅"を提供
- 自然との親しみ:「ゆとりを最優先」に、自然と親しみながらゆったり歩くことを重視
- 思い出サービス:2024年4月から添乗員撮影の旅の写真10枚を無料プレゼント
JTBカルテットでは、アメリカ(アラスカ)、ヨーロッパの田舎町、一都市滞在型、クルーズ、音楽鑑賞、鉄道の旅など、多様なコースを用意しています。特に人気が高いのは、ヨーロッパの田舎町を巡るツアーで、石畳の多い観光地でも歩行距離を最小限に抑えた工夫が施されています。
また、JTBロイヤルロード銀座では、2024年11月に2025年上期向けの新コースを発表しました。シニアやミドル世代に人気の高いヨーロッパを中心とした新コースを展開し、付加価値の高い旅行を求める富裕層やシニア層向けの新しい旅の形を提案しています。例えば「情熱の国スペインの2大都市滞在 麗しのマドリード、バルセロナ7日間」などが提供されています。
JTBの強みは、ユニバーサルツーリズムによる充実したサポート体制です。空港での車椅子貸出サービスでは、歩行がゆっくりな方や杖を利用する方向けに、航空会社準備の車椅子を無料で貸し出しています。
また、トラベルヘルパーの紹介サービスもあり、海外旅行中の移動・トイレ・入浴などをサポートする介護旅行のプロを手配できます。
JTBの高齢者向けサポートサービス:
- 空港車椅子貸出:歩行ゆっくりな方・杖利用者向け無料貸出サービス
- トラベルヘルパー:移動・トイレ・入浴等をサポートする介護旅行プロ紹介
- バリアフリー情報:世界36カ国約800観光箇所のバリアフリー情報を集約整備
- 事前相談サービス:体力面・治安面の不安に対する詳細な相談対応
さらに、JTBグループの海外事業会社と連携して、世界36カ国の約800の観光箇所のバリアフリー情報を集約・整備しており、事前に現地の設備状況を確認できる点も安心です。
一方で、JTBの調査によると、高齢者層(特に女性70代)が海外旅行を控える主な理由として、パスポートの有効期限切れ、治安面での不安、自身の体力面の不安が挙げられています。JTBではこれらの課題に対応するため、事前相談サービスや現地サポート体制の充実に力を入れており、高齢者でも安心して海外旅行を楽しめる環境づくりに取り組んでいます。
参考リンク: JTBカルテット - JTBロイヤルロード銀座
高齢者海外旅行保険のおすすめ選び方

高齢者の海外旅行では、通常の旅行保険よりも手厚い補償が必要になることが多いです。年齢が上がるにつれて、病気や怪我のリスクが高くなるため、保険選びは特に慎重に行いましょう。
高齢者向け海外旅行保険選びの重要ポイント:
- 年齢制限:70歳・75歳・80歳での条件変化、高齢者専用保険の検討
- 既往症対応:持病の補償範囲、旅行前3ヶ月間の症状安定条件
- 補償額設定:医療費1,000万円以上、救援費用・緊急帰国費用の十分な確保
- 日本語サポート:24時間対応、現地医療機関紹介、通訳サービス提供
まず重要なのは、年齢制限の確認です。一般的な海外旅行保険の多くは、70歳や75歳を境に加入条件が厳しくなったり、保険料が高くなったりします。
中には、80歳以上は加入できない保険もあるため、高齢者専用の保険商品を検討することが必要です。また、既往症に関する補償範囲も保険会社によって大きく異なるため、持病がある方は事前に詳しく確認が必要です。
既往症については、一般的に「旅行開始前に発病していた病気」は補償対象外となることが多いですが、高齢者向けの保険では、一定の条件下で既往症も補償する商品があります。
例えば、「旅行前3ヶ月間に症状が安定していた場合」や「医師の許可を得ている場合」などの条件を満たせば、補償を受けられる場合があります。
医療費の補償額についても、十分な金額が設定されているかチェックしましょう。特に欧米では医療費が非常に高額になる場合があり、1,000万円以上の補償があると安心です。
アメリカでの手術費用は数百万円から数千万円になることも珍しくないため、補償額が少ないと自己負担が発生する可能性があります。また、救援費用や日本への緊急帰国費用についても、家族の渡航費用を含めて十分な補償があるかを確認してください。
治療費以外にも重要な補償項目があります。救援者費用は、家族が現地に駆けつける際の交通費や宿泊費を補償するもので、高齢者の場合は特に重要です。また、治療のために旅行期間が延長された場合の宿泊費や、医療通訳の費用なども補償対象に含まれているかを確認しましょう。
保険選択時の具体的チェック項目:
- キャッシュレス治療:現地病院での直接支払い可能、立替不要
- 緊急搬送対応:国際医療搬送、ICU対応航空機、医師・看護師同行
- 薬剤補償:処方薬紛失・盗難時の再処方費用、持参薬の補償
- 家族サポート:家族の現地駆けつけ費用、通訳・翻訳サービス
日本語での24時間サポートサービスがあることも重要なポイントです。緊急時に日本語で相談できるサービスがあると、家族も安心できます。
また、現地での医療機関の紹介や、通訳サービスの提供なども含まれているかを確認しましょう。さらに、キャッシュレス治療が可能な病院の情報提供や、医療費の直接支払いサービスがあると、現地での負担を大幅に軽減できます。
保険料を抑えたい場合は、必要最小限の補償に絞り込むことも可能ですが、高齢者の場合は安全を優先することをおすすめします。また、クレジットカードに付帯している海外旅行保険だけでは補償が不十分な場合が多いため、別途保険に加入することを検討してください。
特に、カード付帯保険は利用条件が厳しく、高齢者には適用されない場合もあります。
高齢者向けの海外旅行保険は、一般的な保険よりも保険料が高く、1週間程度の旅行で1万円から3万円程度が相場となっています。
しかし、万が一の医療費や緊急搬送費用を考えると、決して高い投資ではありません。申し込み前には複数の保険会社で見積もりを取り、補償内容と保険料のバランスを比較検討することが大切です。
高齢者の海外旅行費用はいくら?

高齢者の海外旅行にかかる費用は、行き先や旅行スタイルによって大きく異なりますが、一般的な目安をご紹介します。JTB総合研究所の調査によると、シニア世代の旅行消費額(国内外含む)は平均19.9万円というデータがあり、これは50代の14.7万円よりも約5万円高い金額となっています。
高齢者の旅行費用が高い理由としては、快適性や安全性を重視する傾向があること、また付き添いサービスや高級な宿泊施設を利用することが多いことが挙げられます。
地域別海外旅行費用の目安:
- アジア近隣国(4-5日間):約15万円~25万円(台湾・韓国15万円、タイ・シンガポール20万円)
- オーストラリア(7-8日間):約25万円~40万円(距離により航空券高騰)
- ヨーロッパ・アメリカ(7-10日間):約40万円~70万円(長距離路線、宿泊費高額)
- 高齢者向け上質ツアー:100万円超(ビジネスクラス、高級ホテル含む)
アジア近隣国への4-5日間の旅行では、15万円から25万円程度が相場です。台湾や韓国などの近場なら15万円前後で、航空券、宿泊費、食事代、観光費が含まれます。
タイやシンガポールなどは20万円前後、少し離れたオーストラリアでは25万円以上を見込んでおくと良いでしょう。ただし、これらは一般的なツアーの料金であり、高齢者向けの特別なサービスが付いたツアーでは、さらに5-10万円程度高くなることが一般的です。
ヨーロッパやアメリカなどの長距離路線では、7-10日間で40万円から70万円程度が目安となります。特に高齢者向けの上質なツアーを選ぶ場合は、ビジネスクラスの利用や高級ホテルの宿泊が含まれるため、100万円を超える場合もあります。
例えば、クラブツーリズムのプレミアムステージでは、ターキッシュエアラインズのビジネスクラスを利用したトルコ11日間ツアーが99万円から124万円、ANAビジネスクラス利用のフランス8日間ツアーが128万円から174万円となっています。
また、付き添いサービスを利用する場合は、さらに20万円から50万円程度の追加費用が必要です。付き添いスタッフの交通費、宿泊費、人件費が含まれるため、通常の旅行費用に上乗せとなるからです。
クルーズ旅行の場合は、船室のグレードによって料金が大きく変わります。内側客室なら1週間程度で20万円から30万円程度ですが、バルコニー付きの客室やスイートルームを選ぶと50万円から100万円以上になることもあります。
ただし、クルーズ料金には宿泊費、食事代、船内での娯楽費が含まれているため、実質的な負担は軽くなります。
費用を抑えるポイントと追加費用について:
- 節約方法:オフシーズン利用、早期予約割引、パッケージツアー選択
- 追加費用:海外旅行保険(1-3万円/週)、お土産代(旅行費用の2割程度)
- 緊急時費用:現地医療費、緊急帰国費用、家族駆けつけ費用
- 会員制度:旅行会社の会員割引(5,000円程度)、クレジットカード特典
費用を抑えるポイントとしては、オフシーズンの利用や早期予約割引の活用があります。また、パッケージツアーを利用することで、個人手配よりも安く済む場合が多いです。
特に、旅行会社の会員制度を利用すると、5,000円程度の割引を受けられることがあります。ただし、高齢者の場合は安全性や快適性を優先し、極端に安いツアーは避けることをおすすめします。
海外旅行保険や現地での医療費、緊急帰国費用なども考慮して、予算には余裕を持たせておくことが大切です。高齢者向けの海外旅行保険は、一般的な保険よりも保険料が高く、1週間程度の旅行で1万円から3万円程度が相場となっています。
また、お土産代や追加の観光費用として、旅行費用の2割程度を別に用意しておくと安心でしょう。万が一の緊急時には、現地での医療費や家族の駆けつけ費用なども発生する可能性があるため、総予算の1.5倍程度を見込んでおくことをおすすめします。
高齢者の歩かない海外旅行術まとめ
- 海外旅行に年齢制限はなく健康状態が許す限り何歳でも可能である
- 旅行前の健康診断と医師への相談が安全な旅行の前提条件となる
- ハワイ・台湾・シンガポールは日本語対応と医療体制が充実している
- 治安が悪く医療水準の低い国や極端な気候の国は避けるべきである
- クルーズ船は移動負担が少なく医師常駐でバリアフリー設備も完備されている
- ホテル滞在型なら連泊で荷物移動がなく客室から絶景を楽しめる
- 観光列車やケーブルカーは座ったまま移動しながら景色を満喫できる
- 連泊プランと歩行時間明記のツアーを選ぶことが基本である
- 65歳以上限定ツアーなら同世代と一緒にペースを合わせやすい
- バリアフリー設備とエレベーター完備の宿泊施設を選ぶべきである
- JTBカルテットは少人数制でゆとりある旅を提供している
- 看護師や介護士が同行する付き添いサービスで要介護者も旅行できる
- 緊急時の24時間サポートと現地医療機関との連携体制が必須である
- 高齢者向け海外旅行保険は既往症対応と十分な補償額が重要である
- アジア近隣国は15-25万円、ヨーロッパは40-70万円が費用の目安である