「待ちに待った旅行!でも、もし急な体調不良や仕事で行けなくなったら…」そんな不安を感じたことはありませんか?
旅行の計画には、予期せぬキャンセルリスクがつきものです。
高額なツアーや航空券を予約した後に限って、子供が熱を出したり、急な仕事が入ったりするのは、本当によくある話ですね。
この記事では、そんな万が一の事態に備える「旅行キャンセル保険」について、インターネット上の口コミや評判を徹底的に分析し、多くの方が抱えるリアルな疑問に、一人の旅行好きとしてお答えしていきます。
例えば、楽天トラベルなどで見かけるキャンセル保険は本当に必要か、あるいは、いらないのか。
Yahoo!知恵袋の投稿を見ても「入ってて良かった!」という体験談がある一方で、「条件が厳しくて使えなかった」という声もあり、意見は様々です。
国内旅行におすすめの保険はどれか、保険料は一体いくらかかるのか、大手保険会社の方が良いのかなど、色々気になりますよね。
また、急な体調不良はもちろん、持病や既往症がある場合の補償内容はどうなっているのか、そして意外と知られていないクレジットカード付帯保険との具体的な違いや、実際の申し込み方法まで、分かりやすく、詳しく解説します。
実際に使った人の口コミや体験談を交えながら、メリットだけでなくデメリットや注意点にもしっかりと触れていきますので、この記事を最後まで読めば、あなたに本当に必要な保険がきっと見つかるはずです。
旅行キャンセル保険の口コミで分かる基本情報
- 旅行キャンセル保険の補償内容一覧
- 旅行キャンセル保険はいくらかかる?
- 本当に必要?知恵袋や口コミから検証
- クレジットカード付帯保険との違い
- 旅行キャンセル保険の申し込み方法
旅行キャンセル保険の補償内容一覧
予期せぬトラブルで発生する高額なキャンセル料をカバーするのがキャンセル保険の役割ですが、補償される条件は細かく決められています。

「旅行キャンセル保険」と聞くと、多くの方が「どんな理由であれ、旅行をキャンセルすれば発生したキャンセル料が戻ってくる」という、まるで魔法のようなお守りをイメージされるかもしれません。
私自身も、詳しくなる前はそう考えていました。しかし、現実は少し異なります。
この保険は、あくまで「予測できなかった、やむを得ない事情」によって発生したキャンセル料の損害を補うためのものです。
そのため、保険会社は「どのような理由であれば保険金を支払うか」というルールを、保険の公平性を保つために非常に細かく定めています。
もし「気分が乗らないから」といった自己都合のキャンセルまで補償してしまうと、保険の仕組みそのものが成り立たなくなってしまいますよね。
ここでは、一般的なキャンセル保険がどのようなケースを「やむを得ない事情」と判断してくれるのか、その具体的な補償内容をカテゴリ別にまとめてみました。
ご自身の旅行で起こりうる心配事が、どのカテゴリに当てはまるかを確認してみてください。
補償カテゴリ | 具体的な補償対象と解説 |
---|---|
本人・家族の健康問題 | 最も利用される補償です ✓ 本人、配偶者、親族(2親等以内)の死亡・入院・通院 ✓ 子供の急な発熱や感染症 ⚠️ 重要:通院は旅行開始4日以内、入院は7日以内が条件 |
交通機関のトラブル | 公共交通機関の大幅な遅延・運休 ✓ 航空機・新幹線・特急の2時間以上の遅延 ✓ 台風・大雪による計画運休 ⚠️ 注意:自家用車の故障は対象外 |
仕事・個人的な事情 | やむを得ない社会的責任 ✓ 宿泊を伴う急な出張命令 ✓ 裁判員として裁判所への出頭命令 ⚠️ 注意:日帰り出張は対象外の場合が多い |
旅行先のイベント | 旅行の主目的のイベント中止 ✓ コンサート・スポーツ観戦の中止・延期 ✓ お祭り・花火大会の中止 ⚠️ 重要:チケット購入履歴など証明が必要 |
ペットに関するトラブル | 家族同然のペットの緊急事態 ✓ 犬・猫の死亡 ✓ 急な大病による手術・入院 ⚠️ 注意:旅行直前の期間条件あり |
住居に関するトラブル | 自宅の重大な被害 ✓ 火災・落雷・水災による100万円以上の損害 ✓ 地震・台風などの自然災害による被害 |
補償対象となる理由は非常に多岐にわたりますが、その一つひとつに細かい条件がついています。
特に健康問題に関する「〇日前」という期間の条件や、交通機関の「〇時間以上」という遅延の定義は、保険金が支払われるかどうかの重要な分かれ目になります。
加入前には、必ず公式サイトで「重要事項説明書」や「約款」といった書類に目を通し、どのような場合に保険金が支払われ、どのような場合は対象外なのかを正確に理解しておくことが、後々の「こんなはずじゃなかった」を防ぐために最も重要なステップになります。
旅行キャンセル保険はいくらかかる?
キャンセル保険の保険料は、一般的に旅行代金の2%から5%程度が目安です。

念のため入りたいけど「いくらかかるの?」というのは、誰もが気になるポイントですよね。
キャンセル保険の保険料は、旅行代金の総額に比例して設定されるのが基本です。
高額な旅行ほど、万が一のキャンセル時に保険会社が支払う保険金も大きくなるため、当然ながら保険料も高くなります。
多くの方が「だいたい旅行代金の数パーセント」という認識をお持ちですが、その内訳はもう少し複雑です。
実は、保険会社は旅行代金だけでなく、旅行期間、行き先(国内か海外か)、旅行者の年齢、そして同行者の人数といった様々なリスク要因を分析し、最終的な保険料を算出しています。
例えば、夏休みの家族4人での沖縄旅行(旅行代金30万円)と、一人でのヨーロッパ周遊旅行(同30万円)の保険料を比較した際、後者の方が保険料は高くなります。
これは、海外での医療費リスクや長期間にわたる不確定要素が加味されるためです。
このように、保険料はあなたの旅行が持つ固有のリスクを反映した「オーダーメイド価格」に近いものなのですね。
それでは、具体的な保険料のイメージを掴むために、主要な保険会社を例に見ていきましょう。
Mysurance(マイシュアランス)の料金体系
楽天トラベルなどで見かけるMysuranceは、その料金体系の透明性が特徴です。
公式サイトでは、旅行代金を入力するだけで即座に保険料が分かります。
- 旅行代金が50,000円の場合:保険料 1,270円
- 旅行代金が100,000円の場合:保険料 2,530円
- 旅行代金が200,000円の場合:保険料 5,060円
これらの保険料はキャンセル補償単体のもので、とても分かりやすいですね。
口コミを見ても、「10万円の旅行で2,530円なら、数万円のキャンセル料を払うリスクを考えれば安いもの」という声が多く、この手軽さが人気の理由の一つです。
AWPチケットガードの料金体系
一方で、AWPチケットガードは利用者に選択肢を与える料金体系が特徴です。
キャンセル料の「100%を補償するプラン」と「50%を補償するプラン」があり、自分でリスクと保険料のバランスを取ることができます。
例えば、旅行代金10万円の場合、
- 100%補償プランの保険料は 4,550円
- 50%補償プランの保険料は 2,370円
「全額補償は必要ないけれど、半額だけでも戻ってくれば助かる」と考える方にとっては、保険料を抑えられる50%プランはとても合理的な選択肢になりますね。
保険料を比較する際に私がいつも心掛けているのは、「保険料の安さ」だけで判断しないことです。
保険料が安いということは、それだけ補償範囲が限定的であったり、支払われる条件が厳しかったりする可能性があります。
例えば、同じ10万円の旅行でも、A社の1,900円のプランは「通院によるキャンセルは80%補償」、B社の2,530円のプランは「通院でも100%補償」という違いがあるかもしれません。
特に小さなお子様との旅行で最も心配なのが「急な発熱による通院」ですから、私なら多少高くてもB社を選びます。
このように、ご自身の旅行で最も起こりうるリスクを考え、そのリスクをしっかりカバーしてくれる保険を選ぶことが、本当の意味での「コストパフォーマンス」だと思っています。
本当に必要?知恵袋や口コミから検証
キャンセル保険の必要性は、個人の旅行スタイルやリスクに対する考え方によって大きく変わります。絶対的な正解はなく、ご自身の状況に照らし合わせて判断することが何よりも大切です。

「キャンセル保険って、結局入るべきなの? それとも、いらないの?」これは、保険を検討する上で誰もが最初にぶつかる、基本的な疑問だと思います。
Yahoo!知恵袋や様々な口コミサイトを覗いてみても、「絶対に入るべき!」という推奨派と、「一度も使ったことがないから不要」という冷静な懐疑派の意見が入り乱れており、ますます混乱してしまいますよね。
このセクションでは、なぜ意見がここまで分かれるのか、その背景にあるそれぞれの立場を深掘りし、あなたがどちらの考えに近いのか、判断するための材料を提供したいと思います。
【必要派】の声:数千円で「万が一」と「不安」から解放される価値
まず、保険加入を強く推奨する方々の意見に共通しているのは、「予測不可能なリスクへの備え」と、それによって得られる「精神的な安心感」という、とても明確な価値です。
特に、以下のようなケースでは、その価値が最大限に発揮されます。
子連れ・三世代旅行の「お守り」として
これは、経験者であれば誰もが頷くポイントではないでしょうか。
小さなお子様は、残念ながらこちらの都合などお構いなしに、突然熱を出します。
旅行前夜に楽しみにしていた子供がぐったりして体温計が39度を示した時の絶望感は、言葉にできないものがあります。
旅行に行けない悲しみに加え、「ああ、あのホテルのキャンセル料が10万円…」という金銭的な追い打ち。
こんな時、もし3,000円程度の保険に入っていれば、少なくともお金の心配からは解放されます。
口コミでも「子供の急な発熱は予測不能。お守りとして絶対に入るべき」「親の体調が心配な三世代旅行なので、迷わず加入した」といった声が圧倒的多数を占めています。
高額な旅行の「保険」として
海外旅行や、国内でも星野リゾートのような高級旅館への宿泊など、旅行代金が数十万円にのぼる場合、キャンセル料も当然高額になります。
例えば、旅行業約款では、旅行開始日の前日から起算して20日目以降からキャンセル料が発生し、前日キャンセルでは40%~50%、当日キャンセルでは100%というケースも珍しくありません。出典:観光庁 標準旅行業約款
30万円の旅行で15万円のキャンセル料が発生する可能性を考えると、数千円の保険料はとても合理的なリスクヘッジと言えます。
「この保険がなければ、怖くて半年前から予約なんてできなかった」という声は、まさに、保険を必要とする方の気持ちを表した意見ですね。
「早割」を賢く使うための戦略的投資として
これは少し上級者の視点かもしれませんが、キャンセル保険は「守り」だけでなく「攻め」のツールにもなり得ます。
航空券やホテルは、早期に予約するほど割引率が高い「早割プラン」が設定されていることが多いです。
しかし、これらのプランは「キャンセル・変更不可」という厳しい条件が付いているのが普通です。
ここでキャンセル保険が活躍します。保険に加入しておくことで、キャンセルリスクを気にすることなく、最もお得な早割プランをためらわずに予約できるのです。
結果的に、支払った保険料を差し引いても、通常料金で予約するよりずっと安く済む、というわけです。
【懐疑派】の声:厳格なルールと手続きの手間への不満
一方で、保険は不要だと考える方や、加入したものの不満を感じたという方の意見も非常に参考になります。
想像以上に厳しい「補償条件」
懐疑派の意見で最も多いのが、「いざという時に使えなかった」というものです。
例えば、「子供が熱を出したので病院に連れて行ったが、通院日が保険の対象となる『旅行開始4日前』の範囲から1日だけ外れていたため、1円も補償されなかった」というようなケースです。
これは保険会社の意地悪ではなく、「リスクが高まってから保険に加入すること」を防ぎ、保険制度の公平性を保つためのルールなのですが、利用者からすれば「騙された」と感じてしまうのも無理はないかもしれませんね。
意外と面倒な「請求手続き」
最近はスマートフォンで完結する保険が増えましたが、それでも請求にはキャンセル理由を証明する客観的な書類が必須です。
高熱で苦しんでいる子供を抱えながら、病院で診断書の発行を依頼したり、航空会社のカウンターで欠航証明書をもらうために並んだり…。
「ただでさえ大変な時に、この手続きは本当に骨が折れた」という口コミは、保険の理想と現実のギャップを示しています。
「キャンセル無料プラン」という代替案
「そもそもキャンセル保険に頼らなくても、予約時に『キャンセル料無料』のプランを選べばいい」という、とても賢い意見もあります。
実際に多くのホテル予約サイトでは、直前まで無料でキャンセルできるプランが用意されています。
ただし、こうしたプランは通常、返金不可のプランに比べて料金が割高に設定されていることが多く、また、人気の宿泊施設ではそもそも無料プランの選択肢がない、というデメリットも存在します。
ここまで見てきたように、「必要派」「懐疑派」どちらの意見にも一理あります。
結論として、キャンセル保険の必要性を判断する絶対的な正解はありません。
あなたの旅行が「高額か」「同行者にリスク要因(子供・高齢者)はいるか」「日程変更は容易か」といった点を総合的に考え、ご自身の性格が「万が一に備えて安心したい慎重派」なのか、「リスクは承知の上で、その分費用を抑えたい合理派」なのかを見極めることが、後悔しない選択への第一歩となります。
クレジットカード付帯保険との違い
「カードに保険が付いているから大丈夫」という考えは、残念ながらキャンセル料に関してはほとんどの場合通用しません。クレジットカードの保険とキャンセル保険は、目的も補償内容も全く異なる、似て非なるものなのです。

よくありがちなのが「クレジットカードを持っているだけで、旅行のあらゆるトラブルから守られる」というイメージです。
しかし、「旅行に行く前のキャンセル料」に関しては、その考えは一度リセットする必要があります。
「カード保険があるから大丈夫」と言っていた人が、結果的に10万円以上のキャンセル料を自己負担することに・・・という話を聞いたことがあります。
まず、世の中に存在する「カードの旅行保険」を3つのカテゴリーに分けて理解する必要があります。
カテゴリー1:単体の旅行キャンセル保険(専門商品)
これは、今回のテーマそのものです。楽天トラベルで申し込むMysuranceや、AWPチケットガードなどがこれに該当します。
特定の旅行のために、旅行前のキャンセル料を補償することだけを目的として、旅行者自身が能動的に加入する専門的な保険です。
補償額も旅行代金に合わせて設定でき、補償範囲もキャンセルに特化しているため広範です。
カテゴリー2:クレジットカードの「キャンセル・プロテクション」(希少な特典)
これは、一部のプラチナカードやブラックカードなど、とても年会費の高いプレミアムカードにのみ自動付帯していることがある希少な特典です。
例えば、三井住友トラストクラブの「ダイナースクラブ プレミアムカード」などには「キャンセル・プロテクション」という名称で付帯しています。出典:三井住友トラストクラブ株式会社
しかし、これは単体保険とは大きく異なり、年間の補償限度額が10万円~20万円と低めに設定されていたり、1,000円またはキャンセル料の10%といった自己負担額が必要だったり、補償される理由が「本人の死亡・入院」など、かなり限定的であったりします。
お持ちのカードがこれに該当するかは、カード会社の会員サイトや規約で確認できますが、対象者はごく少数と言えるでしょう。
カテゴリー3:クレジットカード付帯の「旅行傷害保険」(★これが混乱の元)
楽天カードやJCBカード、三井住友カードなど、世の中のほとんどのクレジットカードに付帯している「旅行保険」、これが混乱の最大の原因です。
この保険の目的は、あくまで「旅行期間中のトラブル」を補償することにあります。
具体的には、旅行先でのケガや病気の治療費、カメラなどの携行品が盗まれた場合の損害、ホテルの備品を壊してしまった場合の賠償責任などをカバーするものです。
つまり、旅行に出発する前のキャンセル料は、原則として1円も補償されません。
この3つの違いを、より具体的に比較したのが以下の表です。この表を見れば、その目的と役割が全く異なることが一目瞭然でしょう。
比較項目 | ① 単体キャンセル保険 (Mysurance等) | ② プレミアムカード特典 (ダイナース等) | ③ 一般カード付帯保険 (楽天カード等) |
---|---|---|---|
保険の種類 | 専門商品 | 希少な特典 | 最も一般的 |
主な目的 | 旅行前のキャンセル料を補償 | 旅行前のキャンセル料を限定的に補償 | 旅行中のケガ・病気・盗難を補償 |
キャンセル料補償 | ◎ | △ | × |
費用 | 旅行ごとに保険料が発生(旅行代金の2-5%程度) | 高額な年会費に含まれる(年5万円以上が多い) | カード年会費に含まれる(多くは無料) |
補償限度額 | 旅行代金まで(最大100万円以上も可) | 年間10〜20万円程度 | 補償なし |
自己負担額 | なし(0円) | 1,000円または10%の高い方 | 該当なし |
加入手続き | 旅行ごとに要申込(予約後14日以内など) | カード保有で自動付帯 | カード保有で自動付帯 |
対象者 | 全ての旅行者 | 高額な年会費を払える層 | 旅行中の保険を求める一般層 |
ではなぜ、カード会社はこのような分かりにくい構造にしているのでしょうか。
それは、ビジネスモデルに理由があります。楽天やJCBのような企業にとって、その広大な顧客基盤は、提携する保険会社(Mysuranceなど)にとってとても魅力的な販売チャネルです。
全てのカード会員に無料で包括的なキャンセル保険を提供するのはコスト的に難しいですが、「旅行保険が付帯します」と宣伝することでカードの魅力を高めつつ、キャンセル補償を求める顧客には提携先の専門商品を案内して手数料を得る。
これが、カード会社、保険会社、そして利用者(選択肢が与えられる)の三方にとって合理的な仕組みなのですね。
結論として、私たちが「クレジットカードの保険」という言葉から期待する手厚いキャンセル補償は、ほとんどの場合、別途意識的に専門の保険に加入しなければ手に入らない、と理解しておくことが大切です。
旅行キャンセル保険の申し込み方法
キャンセル保険の申し込み自体は驚くほど簡単ですが、その裏には「加入期限」という、見落としがちな落とし穴が存在します。この期限を1日でも過ぎると、後からでは決して加入できません。

「よし、保険に入ろう!」と決心したとき、その申し込み方法はいたってシンプルで、ほとんどの場合、スマートフォンやパソコンを使って数分で完了します。
しかし、申し込みの「手順」よりも、注意が必要なのは申し込みが許される「期間」です。
出発の1ヶ月前に「そろそろキャンセル保険に入っておこうかな」と軽い気持ちでサイトを開いたところ、お目当ての保険の申し込みボタンがグレーアウトしていてクリックできない、という事態もありえます。
手続きが簡単なだけに、かえって「いつでもできる」と油断してしまい、いざという時に手遅れになるケースは後を絶ちません。
ここでは、具体的な申し込み方法と、それ以上に重要な「加入期限」という名の落とし穴について、詳しく解説します。
申し込みの窓口は主に3つ
キャンセル保険に加入するための入り口は、大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身のスタイルに合った窓口を選びましょう。
旅行の日程や代金、参加者情報などが自動で引き継がれるため、再入力不要
タイマーに急かされることなく、じっくりと吟味可能
持病がある場合など、専門家のアドバイスを受けられる
旅行予約サイトでの「同時申し込み」
これが現在最も主流な方法です。楽天トラベル、JTB、じゃらんnetといった大手旅行予約サイトで航空券やホテルを予約するプロセスの中で、「旅行キャンセル保険に加入しますか?」というチェックボックスや案内バナーが表示されます。
ここで申し込む最大のメリットは、手間が圧倒的に少ないことです。
旅行の日程や代金、参加者情報などが自動で引き継がれるため、自分で再度入力する必要がありません。
しかし、デメリットは、予約完了に気を取られて見落としがちな点です。特にセール時など、急いで予約を確定させたい場面では、この小さなチェックボックスの存在を忘れてしまいがちです。
旅行を予約する際は、必ず最終確認画面で一度手を止め、保険の項目をよく確認しましょう。
保険会社の公式サイトからの「直接申し込み」
t@biho(たびほ)や、AWPチケットガードなど、保険会社のウェブサイトから直接申し込む方法です。
この方法のメリットは、落ち着いて複数の保険商品を比較検討できる点にあります。
各社の補償内容や保険料をじっくりと吟味し、最も納得のいく商品を選べます。
ただし、旅行情報を全て手動で入力する必要があるため、少し手間がかかるのがデメリットです。
旅行代金の総額を間違えて入力してしまうと、万が一の際に補償額が不足する可能性もあるため、正確な入力が求められます。
旅行代理店の窓口での「対面申し込み」
H.I.S.や日本旅行などの店舗でパッケージツアーを申し込む際に、担当者から保険を勧められるケースです。
この方法の最大のメリットは、疑問点をその場で担当者に直接質問できる安心感です。
特に持病がある場合や、旅行の行程が複雑な場合など、専門家のアドバイスを受けながら加入できるのは心強いですよね。
一方で、デメリットは、提案される保険がその代理店が提携している特定の保険会社(例えば東京海上日動など)の商品に限られるため、選択肢が狭まる点です。
より良い条件の保険が他にあるかもしれない、という可能性は考慮しておく必要があります。
最大の罠:「加入期限」のルールに注意
申し込み方法が分かったところで、いよいよ本題である「加入期限」です。
なぜ保険会社はこれほど厳しい期限を設けるのでしょうか。それは、保険の専門用語でいう「逆選択(Adverse Selection)」を防ぐためです。
簡単に言えば、「リスクが高まった人だけが保険に加入する」という状況を避けるためですね。
例えば、台風の発生が濃厚になってから慌てて保険に入ったり、家族が風邪気味になってから「念のため」と加入したりする人が増えると、保険金の支払いばかりが増えてしまい、保険制度が破綻してしまいます。
そのため、保険会社は「旅行の予約という、まだリスクが顕在化していない段階で加入を決めてもらう」必要があるのです。この大原則を理解した上で、各社の期限の違いを見ていきましょう。
加入期限のタイプ | 代表的な保険会社 | 具体的な期限ルール | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
予約・支払後すぐタイプ | Mysurance AWPチケットガード | 予約日を含め14日以内(Mysurance) 旅行代金支払後5日以内(AWP) | 計画的に旅行を予約し、すぐに意思決定できる人。 楽天トラベルなどをメインで使う人。 |
出発直前までOKタイプ | t@biho(たびほ) 東京海上日動(代理店経由) | 旅行出発日の4日前まで(t@biho) 旅行出発日の7日前まで(東京海上) | 予約後すぐの加入を忘れた・逃した人。 出発が近づいて急に不安になった人。 |
私がおすすめするのは、「二段構えの戦略」です。
まず、旅行を予約した瞬間に、カレンダーにMysuranceの加入期限である「14日後の日付」を登録します。
そして、その期限までにじっくり検討し、加入を決めたならその場で申し込みます。
もしうっかりその期限を過ぎてしまったり、もっと後になってから保険の必要性を感じたりした場合は、第二の選択肢であるt@bihoの存在を思い出します。
このように、自分の中に「第一候補」と「第二候補」の保険を持っておくことで、「入りたいのに入れない」という最悪の事態をほぼ100%防ぐことができます。
申し込みは簡単ですが、そのチャンスは有限です。ぜひ、この戦略を参考にしてみてください。
旅行キャンセル保険の口コミから見る選び方
- 体調不良でも使える?実際に使った人の声
- 持病・既往症がある場合の加入条件
- 国内旅行におすすめの保険会社
- 楽天と東京海上の旅行キャンセル保険比較
- 旅行キャンセル保険のデメリットと注意点
- 旅行キャンセル保険がいらない場合とは
体調不良でも使える?実際に使った人の声
多くのキャンセル保険は、診断書がなくても領収書などで体調不良を証明でき、実際に保険金を受け取れたという口コミが多数ありますが、補償の鍵は「客観的な医療機関の受診記録」です。

キャンセル保険を検討する最大の動機、それはおそらく「自分や家族の急な体調不良」ではないでしょうか。
口コミサイトやSNSを見ていても、「子供が旅行当日に熱を出したが、保険金が支払われて助かった」「旅行の2日前に食中毒にかかってしまったが、全額返金された」といった、体験談が数多く見つかります。
これらの声に共通しているのは、保険が「いざという時に本当に機能した」という事実です。
しかし、ここで多くの方が疑問に思うのが、「どこまでの体調不良なら補償されるのか?」という、その境界線ですよね。
「ただの風邪」や「診断書がない場合」でも本当に大丈夫なのか、その核心に迫っていきたいと思います。
重要視されるのは「病名」より「通院の事実」
重要なポイントは、保険会社が重視しているのは「インフルエンザ」や「食中毒」といった病名そのものよりも、「その体調不良によって、医療機関を受診した」という客観的な事実である、ということです。
たとえ軽い風邪であっても、高熱が出てつらかったため病院へ行き、医師の診察を受けたのであれば、それは立派な「通院」という補償対象の事由になります。
逆に、どんなに体調が悪くても、病院へ行かずに市販薬を飲んで家で寝ていただけでは、それを客観的に証明するすべがないため、保険金の支払いは難しくなります。
「診断書不要」の流れが主流に
かつては、保険金の請求に際して、発行に数千円かかることもある医師の「診断書」の提出が必須とされるのが一般的でした。
これが、保険利用のハードルを上げていた一因でもあります。しかし、この点は近年大きく改善されています。
特に、Mysurance(楽天トラベルなど)に代表されるオンライン完結型の保険では、利用者の利便性を高めるため、診断書がなくても以下の書類で代用できるケースがほとんどです。
- 病院の領収書(患者名、病院名、受診日が明記されているもの)
- 診療明細書(どのような検査や処置が行われたかが分かるもの)
- 調剤薬局の領収書や薬剤情報提供書(処方された薬が分かるもの)
実際に、口コミでも「診断書はいらないと聞いて半信半疑だったが、本当に領収書の写真だけで申請が通った」「手続きが簡単で驚いた」という声が多く、この手軽さが利用者満足度の向上に直結していることが伺えます。
これは、保険会社にとっても、大量の請求を効率的に処理するための合理的な仕組みなのですね。
ただし、この「手軽さ」に落とし穴がないわけではありません。
注意すべきは、「医学的な所見がない」と判断される症状は対象外であるという点です。例えば、「旅行前で気分が落ち込んでしまった」「なんとなく疲れが取れない」といった理由で自己判断で旅行を取りやめても、それは補償の対象にはなりません。
あくまでも、医師という第三者による客観的な診察・診断という事実があって初めて、保険は機能します。
また、請求する際には、提出した領収書などから「確かにこの体調では旅行は困難であっただろう」と保険会社が判断する必要があります。
その判断材料として、処方された薬の内容(解熱剤や抗ウイルス薬など)も参考にされることがある、という点は覚えておきましょう。
持病・既往症がある場合の加入条件
持病があっても保険加入はできますが、補償されるのは「予期せぬ急激な悪化」のみ。定期治療や予定されていた検査は対象外です。

複数の保険会社のサイトを見ると「持病のある方もご加入いただけます」と書いてあります。
しかし、「保険契約前から予定されていた治療や検査によるキャンセルは対象外」となっています。
持病をお持ちの方や、ご高齢の親御さんと旅行を計画されている方には、この点は特に注意が必要です。
なぜ「急激な悪化」に限定されるのか?
保険会社が補償の範囲を「持病の“急激な”悪化」に限定するのには、明確な理由があります。
それは、保険の大原則である「予測不可能なリスクに備える」という考え方に基づいているからです。
例えば、あらかじめ手術の日程が決まっている人が、その手術を理由にキャンセルすることを見越して保険に加入した場合、それは予測可能な事象に対する「計画的な利用」となり、保険の趣旨から外れてしまいます。
このようなモラルハザード(保険の不正利用)を防ぎ、加入者全体の公平性を保つために、保険会社は「予期せぬ事態」と「計画された事態」を厳格に区別しているのです。
- 補償対象となる例:旅行の数日前に、持病の喘息が予期せず大発作を起こし、緊急入院した場合。
- 補償対象外となる例:旅行の1ヶ月後に予定されている定期検診が、医師の都合で旅行日と重なってしまった場合。
主要保険会社の「持病」に関する規定を徹底比較
では、具体的に各保険会社は持病に対してどのようなルールを設けているのでしょうか。
保険会社 | 持病に関する規定の概要と解説 |
---|---|
Mysurance | 公式サイトのFAQで明確に回答しています。 持病の「急激な悪化」による、予定されていなかった入院(旅行開始7日前以内)や通院(同4日前以内)は補償対象です。 ポイントは「急激な悪化」と「予定外」という二つの条件を満たす必要がある点です。 元々予定されていた定期健診や治療は、たとえその具体的な日程が保険加入後に決まったとしても、明確に補償対象外となります。出典:Mysurance株式会社 |
東京海上日動 | 伝統的な大手ならではの、個別対応が基本となります。 海外旅行傷害保険の場合、持病を原因とする治療費用を補償するには「疾病に関する応急治療・救援費用担保特約」といった特別な特約の付帯が必須です。出典:東京海上日動火災保険株式会社 ツアーキャンセル保険の場合も、そのキャンセルの根本原因が持病である場合は、申し込み時に代理店へ正確に告知し、保険会社が引受を個別に判断するのが一般的です。 デジタル完結型とは異なり、人の介在による柔軟な判断が期待できる一方、告知義務を怠ると重大な契約違反となる可能性があります。 |
AWPチケットガード | 約款上、「持病」という言葉を直接の除外理由としては明記していません。 補償は「入院」や「通院」といった事象によってトリガーされます。 しかし、とても重要な条項として、腰痛やむちうち症など「医学的他覚所見のないもの」に基づく請求は補償対象外とされています。出典:AWPチケットガード少額短期保険株式会社 これは、例えば慢性的な腰痛持ちの方が、旅行前に「いつもより痛みが強い」と感じてキャンセルしても、レントゲンなどで新たな異常が見つからない限り、補償は難しい可能性を示唆しています。 解釈に曖昧さが残るため、持病を持つ方は加入前に直接問い合わせて確認しておきましょう。 |
t@biho(たびほ) | 規定は比較的厳格です。 補償のトリガーとなる入院日数が「継続して3日以上」と、Mysuranceなどより条件が厳しくなっています。 さらに、「契約時にすでに発生していた事由」によるキャンセルは補償対象外と明記しており、これは、非急性で進行中の慢性疾患(例えば、徐々に進行する関節症など)によるキャンセルは補償されないことを強く示唆しています。出典:ジェイアイ傷害火災保険株式会社 |
持病や既往症がある方がキャンセル保険を検討する上で最も大切なことは、「自分(または同行者)の持病が、どのような状態になったら旅行をキャンセルする可能性があるか」を具体的にシミュレーションしてみることです。
そして、そのシミュレーションした状況が、検討している保険の「急激な悪化」の定義に合致するかどうかを、約款を読んで確認する、あるいは保険会社に直接問い合わせてみることです。
「加入できる」という言葉だけに安心せず、その一歩先の「補償されるか」まで踏み込んで確認する作業が、あなたの旅費と安心を守るための、何よりもの「保険」になります。
国内旅行におすすめの保険会社
国内旅行のキャンセル保険選びでは、「手軽さのMysurance」「イベント特化のAWP」「駆け込みOKのt@biho」という3社の特徴を理解し、ご自身の旅の目的に合わせて選ぶのが成功の鍵です。

海外旅行に比べて、国内旅行は移動距離も短く、費用も比較的安価なため、「キャンセル保険は必要ないかな」と考える方も多いかもしれません。
しかし、国内旅行でも予期せぬトラブルはいつ起こるかわかりません。
週末を利用した1泊2日の旅行でも、子供の急な発熱や、仕事のトラブルでキャンセルせざるを得ない状況は、海外旅行と同じように起こり得ます。
特に最近は、魅力的な温泉旅館やリゾートホテルが増え、国内旅行でも1泊で10万円を超えるような高額なプランも珍しくありません。
そんな時、数千円の保険が大きな助けとなるのです。
では、数ある保険会社の中から、特に国内旅行において頼りになるのはどこなのでしょうか。
ここでは、口コミで特に評判が良かった保険会社を3社厳選し、それぞれの「個性」と「最適な使い方」を、具体的なシーンを交えながら詳しく解説していきます。
「どの保険が一番良いか」ではなく、「あなたの今回の旅行には、どの保険が一番合っているか」という視点で読み進めてみてください。
1. Mysurance(マイシュアランス):旅行予約と同時に完了させたい「計画派」のあなたへ
楽天トラベルやJTB、じゃらんnetといった大手旅行予約サイトとシームレスに連携しているMysuranceは、国内旅行におけるキャンセル保険の第一候補と言えるでしょう。
その最大の強みは、なんといっても「圧倒的な手軽さ」です。
私はよく楽天トラベルを利用するのですが、宿泊施設を選び、人数と日程を入力し、「予約確定」ボタンを押す直前の画面で、必ず「Travelキャンセル保険に加入しますか?」という案内が出てきます。
ここにチェックを入れるだけで、旅行情報が自動的に反映され、数タップで申し込みが完了します。
この「予約と同時に保険も完了」という体験は、忙しい日常の中で旅行の計画を立てている私たちにとって、とても価値が高いものです。
「後でやろう」と思って忘れてしまう、という最もありがちな失敗を防いでくれます。
また、補償内容も国内のレジャー旅行で起こりがちなトラブルを的確にカバーしています。
子供の急な発熱による通院はもちろん、旅行先で参加予定だったフェスやイベントが中止になった場合も補償対象となるのは、現代の旅行スタイルにとてもマッチしています。
口コミでも「申し込みが簡単で、請求もスマホで完結したのでストレスがなかった」という声が多いです。
2. AWPチケットガード少額短期保険:その旅の目的が「イベント」なら一択
あなたの旅行の目的がもし、「大好きなアーティストのコンサート」「応援しているチームのスポーツ観戦」「どうしても行きたい演劇」であるならば、AWPチケットガードを強くお勧めします。
この保険会社は、その名の通り「チケットを守る」ことに特化した、とてもユニークな存在です。
通常の旅行キャンセル保険は、あくまで航空券やホテルのキャンセル料を補償するものですが、AWPはそれに加え、イベントチケットそのもののキャンセルに備える「チケットガード保険」という商品を別に提供しています。
数万円もする人気アイドルのコンサートチケットを手に入れ、遠征のために飛行機とホテルを予約したとしましょう。
ここで一番怖いのは「自分や家族の体調不良で、チケット代も旅費も全て無駄になってしまうこと」。
そこで、旅行のキャンセル保険と、チケットガード保険の両方に加入しておけば、どちらも守ることができます。
このように、旅行代金以上にチケット代が高額になるケースや、チケットの入手が困難で、そのイベントが旅行の全てである、という場合には、AWPは他社にはない強力な安心感を提供してくれます。
3. t@biho(ジェイアイ傷害火災保険):「うっかり」と「やっぱり」を救う最後の砦
「旅行の予約に夢中で、保険のことなんてすっかり忘れていた!」「出発日が近づくにつれて、なんだか急に不安になってきた…」そんなこともあると思います。
Mysuranceなどの「予約後すぐタイプ」の保険の加入期限を逃してしまい、途方に暮れている方を救ってくれるのが、このt@bihoです。
t@bihoの最大のメリットは、その柔軟な加入期限にあります。
多くの保険が「予約後14日以内」など厳しい期限を設ける中、t@bihoは出発日の4日前まで申し込みが可能です。
これは、利用者にとってとても大きなセーフティネットですね。
商品内容もオンラインで完結するシンプルなもので、分かりやすいのが特徴です。
補償内容が不要な特約を削ぎ落とした基本的なものに絞られているため、保険料が比較的リーズナブルな傾向にある点も魅力です。
ただし、その分、持病に関する規定が厳しめであったり、補償のトリガーとなる入院日数の条件が他社より長かったりする場合があるため、加入前には必ず補償内容の詳細を確認することが重要です。
このように、国内旅行におすすめの保険会社は、それぞれに異なる得意分野を持っています。
あなたの旅行計画を振り返り、「予約と同時に手軽に済ませたいか」「特定のイベントが目的か」「直前でも入れる安心感が欲しいか」という3つの質問を自分に投げかけてみてください。
楽天と東京海上の旅行キャンセル保険比較
デジタル完結型でスピードを重視する「楽天(Mysurance)」と、代理店を通じた手厚いサポートが強みの「東京海上日動」

オンラインで手軽に利用できる楽天(Mysurance)と、対面でじっくり相談ができる東京海上日動。
この二つの保険は、それぞれ異なる強みを持っており、旅行の性格によって使い分けることが賢明です。
例えば、週末の温泉旅行のようなシンプルな旅行なら、楽天トラベルで宿を予約するついでに数タップで加入できるMysuranceの手軽さが魅力的です。
一方、両親と兄弟家族など総勢10名でのハワイ旅行のような場合は、東京海上日動がおすすめです。
旅行代理店で高齢の両親の持病について相談できるだけでなく、「誰か一人に何かあった時、全員分のキャンセル料が補償される」という団体向け特約も用意されており、大人数旅行のリスク管理に最適だからです。
このように、どちらが優れているという話ではなく、それぞれに明確な得意分野があります。
ここでは、この二大保険会社を「販売方法」「最適な利用者」「料金と補償」「手続き」「ビジネスモデル」という5つの観点から、詳しく比較していきます。
比較項目 | Mysurance(楽天トラベルなど) | 東京海上日動 |
---|---|---|
主な販売方法 | 楽天トラベル、JTBなど、オンライン旅行サイトでの予約時がメイン。デジタル完結型。 | H.I.S.、日本旅行などの旅行代理店や、街の保険代理店経由での対面・電話販売が中心。 |
最適な利用者像 | 個人や少人数の家族旅行者。デジタル手続きを好み、スピーディーに物事を進めたい「計画的なオンライン派」。 | 大人数の団体・グループ旅行者。持病など、個別の事情について専門家に相談したい「安心重視の相談派」。 |
保険料と補償内容 (旅行代金10万円の場合) | 保険料:2,530円 補償:キャンセル料の100%を補償。 補償理由は明確にリスト化されており、ルールは厳格。 | 保険料:約1,900円~ 補償:プランにより80%~100%と変動。 「一人がキャンセルすれば全員補償」など団体向け特約が強力。 |
加入期限 | 予約後14日以内、出発9日前まで、ととても厳格。 この期間を過ぎると加入不可。 | 出発7日前までなど、代理店によって比較的柔軟に対応可能。 |
請求プロセス | マイページから証明書類をアップロードするだけ。 完全オンラインで、人的なやり取りはほぼ発生しない。 | 基本的には保険を購入した代理店に連絡することから始まる。 人的なサポートを受けられる。 |
それぞれのビジネスモデルから見える特徴
この二社の違いは、ビジネスモデルが背景にあります。
Mysuranceは「効率化とスピード」です。
楽天という日本最大級のECプラットフォームの顧客データを活用し、最も保険を必要とするであろうタイミング(=旅行予約時)で、低コストにアプローチします。
厳格な加入期限も、請求プロセスの完全デジタル化も、全ては膨大な数の契約を効率的に、かつ低コストで処理するための仕組みです。
個別の事情を汲んだ柔軟な対応は切り捨て、その代わりに、多くの人に共通する一般的なリスクに対して、明快なルールと手頃な価格で応えるという戦略です。
一方、東京海上日動は「信頼と包括性」です。
長年かけて築き上げてきた全国の代理店ネットワークという「人」の力が強みです。
代理店は、単に保険を売るだけでなく、顧客一人ひとりの顔を見て、その人の家族構成や健康状態、旅行の目的といった個別性の高い情報をヒアリングし、数ある商品の中から最適なプランを提案します。
デジタルでは拾いきれない、複雑なリスクに対応できるのが最大の価値です。
その分、人件費などのコストはかかりますが、高額な旅行や団体旅行といった、より高い安心感を求める顧客層から絶大な信頼を得ています。
「手軽さ」を取るか、「手厚さ」を取るか。保険に何を求めているかで検討してみてください
旅行キャンセル保険のデメリットと注意点
キャンセル保険はとても心強い味方ですが、「保険料は掛け捨て」「補償条件の厳格さ」「請求の手間」という部分も正しく理解しておくことが、後悔しないための絶対条件です。

ここまでキャンセル保険の素晴らしい側面をたくさんお伝えしてきましたが、もちろんデメリットや注意点もあります。
いざという時に「こんなはずじゃなかった!」とならないよう、加入前に必ず知っておくべき、キャンセル保険の「不都合な真実」について、一つひとつ丁寧に解説していきます。
保険料は「掛け捨て」であり、貯蓄ではない
これは基本中の基本ですが、意外と心理的な抵抗を感じる方が多いポイントです。
無事に旅行に行けた場合、支払った数千円の保険料は戻ってきません。これを「損した」「無駄だった」と感じてしまう気持ちは、よく分かります。
しかし、キャンセル保険は貯蓄や投資ではなく、自動車保険や火災保険と同じ「万が一のリスクに備えるための費用」です。
一年間無事故だったからといって、自動車保険料を「無駄だった」とは考えませんよね。
加入できる期間は短い
「旅行キャンセル保険の申し込み方法」のセクションでも触れましたが、再度お伝えします。
特にMysuranceなどのオンライン完結型保険の「予約後14日以内」という期限は、絶対的なルールです。
保険会社にとって最も避けたいのは、台風の接近や体調の異変など、リスクが顕在化してから人々が駆け込みで加入する「逆選択」だからです。
このルールがあるからこそ、保険料を安く抑えることができ、健全な保険制度が維持されています。
この加入期限を「保険という商品の鮮度を示す賞味期限」のようなものだと捉え、旅行を予約したら、その熱が冷めないうちに保険の検討もセットで行う、という習慣をつけることを強くお勧めします。
補償対象外のケースが想定以上に多い
保険がカバーするのは、あくまで「急激かつ偶然な外来の事故」に限られます。
そのため、以下のようなケースは、たとえ旅行に行けなくなったとしても、残念ながら補償の対象外となります。
- 自己都合によるキャンセル:「なんとなく気分が乗らない」「仕事が忙しくなった(出張命令を除く)」「友人との旅行で喧嘩した」など。
- 予測可能な事象:「天気予報で雨だから」「混雑していそうだから」といった理由。
- 戦争・テロ・暴動:これは多くの保険約款で「免責事由(保険金を支払わないケース)」として明確に規定されています。
旅行先の治安情報は、外務省の海外安全ホームページなどで事前に確認することが不可欠です。出典:外務省 海外安全ホームページ
補償条件の「細かさ」こそが最大の関門
これが、利用者の不満が最も発生しやすいポイントです。
「通院は旅行開始日の4日前から」「入院は継続して3日以上」といった条件は、一見すると恣意的に見えるかもしれません。
しかし、これには「その医療行為と旅行のキャンセルとの間に、明確な因果関係があるか」を客観的に判断するための、保険会社側のロジックがあります。
例えば、旅行の1ヶ月前の通院では、それが直接キャンセルの原因になったとは断定しにくい、と判断されるわけです。
私たちは利用者として、判断の線がどこに引かれているのかを、契約前に正確に知っておく必要があります。
請求には「客観的な証拠」という手間が必ず伴う
保険金は、自己申告だけでは決して支払われません。
その請求が正当なものであることを証明するために、必ず第三者が発行した客観的な証拠書類の提出が求められます。
- 体調不良なら:病院の領収書、診療明細書、診断書など。
- 交通機関の遅延なら:航空会社や鉄道会社が発行する遅延・欠航証明書。
- パスポートの盗難なら:警察への盗難届出証明書(ポリスレポート)。
体調が悪くて大変な時や、旅行がキャンセルになって落ち込んでいる時に、これらの書類を自ら集めなければならないのは、確かに大きな負担です。
これらの注意点を理解した上で、最後に必ず行っていただきたいのが、「重要事項説明書」と「約款」に目を通すことです。
小さな文字で書かれた退屈な書類に見えるかもしれませんが、権利と義務、そして保険会社との「約束事」の全てが書かれています。
これを読む作業は、面倒な手続きではなく、あなたの旅費と安心を守るための、最も確実な自己防衛策なのです。
旅行キャンセル保険がいらない場合とは
キャンセル保険は万能薬ではなく、旅行のスタイルやあなたの価値観によっては、加入しない方が合理的なケースもあります。

「全ての旅行に、全ての人が保険に入るべき」というわけではありません。
リスクを正しく評価し、無駄なコストを削減するという、合理的な判断も必要です。
ここでは、不要なケースについて見ていきましょう。
予約プランそのものが「保険」の役割を果たす場合
最近のホテル予約サイト、例えば楽天トラベルやじゃらんnetでは、「宿泊日の〇日前までキャンセル料無料」というプランが数多く提供されています。
これらのプランは、返金不可の最安値プランに比べて数百円から数千円ほど割高に設定されていることが多いですが、この差額こそが、いわば「キャンセル保険料」の役割を果たしていると考えることができます。
もし、あなたが予約したホテルやツアーが、キャンセル料が発生する期間よりも前に、無料で日程変更やキャンセルが可能なのであれば、別途保険に加入する必要性は極めて低いと言えるでしょう。
ただし、航空券、特にLCC(格安航空会社)のセール運賃などは、予約した瞬間から100%のキャンセル料がかかる場合がほとんどなので、注意が必要です。
キャンセル料が「許容範囲」である場合
リスク管理の基本は、「発生しうる損害額」を考えることです。
例えば、友人と日帰りのバスツアーに参加するケースを想像してみてください。
旅行代金は8,000円で、前日キャンセル料は50%の4,000円。この4,000円という金額を、あなたはどう感じますか?
「痛い出費だけど、生活に影響が出るほどではないな」と感じるのであれば、わざわざ1,000円程度の保険料を支払う必要はないかもしれません。
一方で、同じ4,000円でも、「1ヶ月の自由に使えるお金が…」と感じる方もいるでしょう。
このように、保険の必要性は、旅行代金の絶対額だけでなく、その金額がご自身の経済状況に与えるインパクトによって変わってきます。
一つの目安として、「この金額なら、諦めがつく」と思えるかどうかが、判断の分かれ目になります。
旅行計画に「柔軟性」がある場合
あなたの旅行は、その日でなければ絶対にダメなものでしょうか?
例えば、「特定の日付で開催される友人の結婚式への参列」や「年に一度の音楽フェスへの参加」といった旅行であれば、日程の変更は不可能です。
このような「代替不可能な旅行」には、キャンセル保険が強く推奨されます。
一方で「いつか行きたかった温泉に、週末を利用して行く」といった旅行であれば、もしその週に行けなくなっても、翌週や翌月に延期することが可能かもしれません。
このように、日程変更という選択肢が容易に取れる旅行であれば、わざわざキャンセルしてキャンセル料を支払うリスクそのものが低いため、保険の優先順位も下がります。
「リスク許容度の高い」人の場合
最後は、個人の価値観や性格に依存する部分です。
「これまで何十回も旅行してきたが、一度もキャンセルしたことはない」「万が一の数パーセントの確率のために、毎回保険料を払うのは合理的ではない」と考える方もいるでしょう。
確率論で考えれば、ほとんどの旅行は無事に催行されるわけですから、長期的に見れば保険料の総額が、実際に受け取る保険金を上回る可能性は十分にあります。
このような合理的な判断に基づき、リスクを許容できるのであれば、保険に加入しないという選択もあります。
ただし、万が一リスクが現実化した際には、「あの時、保険に入っておけば…」と後悔することなく、発生した損害を潔く受け入れる覚悟が必要です。
旅行キャンセル保険口コミ徹底検証!失敗しない選び方【まとめ】

最後に、この記事で解説してきた旅行キャンセル保険に関する重要なポイントを、リスト形式でまとめます。
- 旅行キャンセル保険は、予期せぬ事態で発生する「キャンセル料」という金銭的損害を補償してくれる心強い保険である
- 補償対象となる理由は、本人や家族の急な病気やケガ、交通機関の大幅な遅延、イベントの中止など多岐にわたるが、それぞれに細かい条件が定められている
- 保険料の目安は、一般的に旅行代金の2%から5%程度であり、旅行のリスクに応じて変動する
- 保険の必要性は絶対的なものではなく、子連れ旅行や高額な旅行、先の予定が不確定な場合に、その価値が最大限に発揮される
- ほとんどのクレジットカードに付帯している「旅行傷害保険」は旅行中のトラブルを補償するものであり、旅行前のキャンセル料は対象外であるため、明確に区別する必要がある
- 申し込みはインターネット経由が主流だが、「予約後すぐ」のMysuranceや、「出発直前まで」のt@bihoなど、保険会社によって加入期限が大きく異なるため注意が必要である
- 急な体調不良によるキャンセルは、近年「診断書」がなくても病院の「領収書」などで請求できる手軽な保険が増えている
- 持病や既往症があっても加入は可能だが、補償は「計画的な治療」ではなく「予期せぬ急激な悪化」に限定されるという、重要な原則がある
- 国内旅行では、手軽さを重視するなら「Mysurance」、イベントが目的なら「AWPチケットガード」、加入期限の柔軟性を求めるなら「t@biho」がおすすめである
- デジタル完結型でスピード重視の「楽天(Mysurance)」と、代理店経由で手厚いサポートが魅力の「東京海上日動」は、旅行のスタイルによって使い分けるべきである
- 保険料は「掛け捨て」であり、補償条件は厳格、請求には必ず客観的な証明書類が必要、といったデメリットや注意点も存在する
- 「キャンセル料無料プラン」で予約している場合や、旅行代金が少額でリスクを許容できる場合には、保険に加入しないという合理的な選択肢もある
- 保険選びで最も重要なのは、保険料の安さだけでなく、あなたの旅行で最も起こりうるリスクを的確にカバーしてくれる補償内容かどうかを見極めることである
- 加入前には必ず「重要事項説明書」や「約款」に目を通し、保険会社との「約束事」を理解しておくことが、後悔を防ぐ最大の防御策となる
- 最終的に、キャンセル保険に加入するかどうかは、あなたにとっての旅行の価値、リスクをどうとらえるかであり、絶対的な正解はない